菅野智之、エースが示す2016年負けない理由。驚異の4割超え、打でも貢献【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は2016シーズン未だ無傷の巨人・菅野智之の話だ。
2016/05/12
Getty Images
失投が少ない2016年
しかし今季は過去3年間とかなり異なっている。
投球成績をより詳細に見てみる。なお2013年は救援登板が1試合あった。その成績を除外している。
QS(先発で6回以上投げて自責点3以下)は、先発投手の最低限の責任とされる。菅野はもともと7割台と高いQS率を誇っており、今季も7試合すべてでQSをクリアしている。
注目すべきは、今季、平均投球回数が8.14と大幅に向上している点にある。
その主たる原因は、1回当たりの投球数が13.81とこれまでよりも1.5球近く少なくなっていること。わずか1.5球と思うかもしれないが、完投すれば13.5球もの差になる。この数値を少なくすることは、長い投球回数を投げるために必須条件と言える。
しかし1人の打者当たりの投球数は3.8前後と大きく変わっていない。菅野の投球の組み立ては、昨年までとあまり変わっていないのだ。
変わったのは被打率と9回当たりの与四球率(BB9)。この二つの数字が大幅に減少している。
失投が大幅に減って、結果的に被安打や与四球が減少したことを示している。
このために、1回当たりの対戦打者数が減って、同じ投球数で長いイニングが投げられるようになったのだ。
援護率は4点前後。DeNAの今永のように援護点不足で泣くことはなかったが、潤沢な援護に恵まれているというわけでもない。標準的だ。