大場翔太の気迫に見る中日の成熟ぶり。復活目指すかつてのドラ1が若竜戦士の刺激に
ホークス8年間で通算15勝。ドラフト1位として大活躍はできなかった。今年からドラゴンズでプレーする大場翔太は、復活に向けて一歩ずつ前に進んでいる。
2016/05/12
グランドスラム
ドラ1と期待されながら
大学時代に目立つ実績を上げ、日本代表にも選出されれば、ファンやメディアはその豊かな将来性に大きな希望を抱く。ドラフト1位で指名した球団も、しっかり育成してチームを背負う存在になってもらおうとイメージする。そして、何より選手本人が強い覚悟と責任感でプロ野球の荒波に飛び込む。
だが、やはり荒波なのだ。
小さくても歯車がひとつ狂うと、次第にバランスを崩し、いつしか大海原に呑み込まれそうになる。
大場翔太も、そうした苦しい歩みを余儀なくされた。福岡ソフトバンクでの8年間で通算15勝。2011年には7勝を挙げて注目を集めたが、そのまま上昇気流に乗ることはできず、昨年は一軍登板すらなかった。2年連続日本一を達成した充実の戦力の中で、再び実力を認めさせるのは至難の業だろう。
そんな大場に、中日ドラゴンズが救いの手を差し伸べた。福岡ソフトバンクホークスが日本一を決めた翌日に金銭トレードを発表すると、11月4日には移籍先の中日で入団会見。
「中日からチャンスをいただけてうれしく思っています。力のある真っ直ぐと、インコースをどんどん突いていく強気なピッチングを見ていただきたい」
そう意気込んだが、実際の大場は「もう投げ方がバラバラになっていた」と落合博満GMは振り返る。だが、監督1年目の開幕戦で川崎憲次郎を先発させたように、晴れ舞台を必死に目指す選手の姿は、成長途上にある選手たちにも好影響を及ぼすと、落合GMは考える。もちろん、大場が復活を遂げてくれれば、それだけでも戦力はアップするのだ。
しかし、昨秋のキャンプから自分らしさを取り戻そうとしている大場も、ビデオのように自分の投球を望む時点に巻き戻すことはできず、ウエスタンリーグが幕を開けてもなかなか登板機会を得ることができない。そんな折、チームは社会人の公式戦であるベーブルース杯大会に5月1日から出場する。