「規定打席以下」ランキングから見えてくる「隠れた強打者」たち【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第20回目は、「規定打席未満の強打者」についてだ。
2014/11/22
ホークスを支えた二人の〝規定打席未満〟のレギュラー
プロ野球には「規定打席」というものがある。試合数×3.1以上だ。
かつては、そういうものはなかったのだが、打数の少ない打者のほうが容易に高打率をマークすることができるため、一定の打席数(当初は打数)で線引きをしようということになったのだ。
NPBの規定打席は446、MLBは503、これは記録に携わる人にとって、基本的な数字と言っていいだろう。
規定打席ができてから、レギュラー=規定打席以上、が定着した。それ以下の打席数で好成績を上げても、大きく取り上げられることはなくなった。
しかし、規定打席未達の選手でも見るべき成績を上げている選手は必ずいる。私は1シーズンが終わると規定打席未満の選手だけのランキングを付けるのだが、意外なことが見えてきて興味深い。
というわけで、2014年の規定打席未満、200打席以上の選手のランキングを見てみよう。
パリーグ、規定打席未満の打率順だ。
規定打席未満の〝首位打者〟はソフトバンクの松田。本塁打、安打数も最多だ。松田、本多の二人は、ソフトバンクのレギュラーだ。
故障で戦列を離れたために規定打席には達しなかったが、パフォーマンスは抜群だった。
日本ハムの小谷野は若手の台頭もあって、規定打席未達。しかししぶとい打撃は健在。ポストシーズンの活躍も記憶に新しい。FA宣言をして西武への入団が濃厚だが、十分に働けるだろう。
そして大谷翔平。規定投球回数に入った「投」ばかりが目立つが、打者としてもすごい。OPSはこのランキングでは松田に続いて2位なのだ。スケールの大きさが目立っている。
ベテラン井口資仁も規定打席未達。打率も低いが、OPSは.718を記録。これは四球数が多く、長打も打っているからだ。まだまだ存在感がある。
また、同様に打率は低いものの、ミランダの勝負強さも際立つ。日本ハム打線は、下位にこの選手がいたことが意外に大きかった。