ホークス寺原、セパ3球団で培ったマウンドさばき。ベテランが強力ブルペン陣にもたらす効果
着々と独走態勢を築きつつあるホークス。投手陣の安定感は12球団随一だ。そして、終盤の大事な局面でマウンドに上がる寺原隼人の存在が光る。
2016/05/14
点を取られないように
4月24日、寺原隼人は7回のマウンドに上がった。日本ハム打線を3人で打ち取り、しっかりと仕事をしてみせる。工藤公康監督は「最初だったので1イニングだけ。彼の力なら2、3イニングは投げられるでしょう」と信頼を込めて振り返った。
この日が今季1軍初登板。1カ月遅れの開幕となったが、ここからベテランらしい投球を披露している。
5月13日までに7試合(6回1/3)に登板して、2勝2ホールドをマーク。2つ目の勝ち星をつけた5月6日の楽天戦では8回、一死1・2塁の場面で登板し、後続を断ってお立ち台に上がった。
「中継ぎという立場で、こういう接戦の場面で投げさせてもらっている以上、点を取られないようにということだけ心がけてマウンドに上がっています。(今江に対し球速149キロ)それくらいは出ると思います! スライダーがいい感じで曲がってくれていますね。終盤で打線が追いついてくれるので、ピッチャーも気合いが入る。勝ちに貢献できるピッチングができるように、中継ぎ陣は日々頑張っています」
そう言って満面の笑みを見せた。
寺原のお立ち台と言えば、2013年5月1日の西武戦が印象的だった。ソフトバンクでは06年7月16日の日本ハム戦以来、7年ぶりの白星。先発して8回1失点の好投を見せ上がったお立ち台で感極まって涙を見せた。マイクを握って「帰ってきました。ただいま」とファンにソフトバンク復帰の挨拶を行った。
14年4月16日の楽天戦では、史上3人目となる13球団からの勝利をあげた。お立ち台で内川聖一とともに「13」の数字を指で表し、勝利を噛み締めていた。
ダイエー・ソフトバンク、横浜、オリックス、そして再びソフトバンクへ。セパ両リーグ3球団を渡り歩き、先発・中継ぎ・抑えとしてフル稼働してきた証である。