ストーブリーグが過熱! FA移籍に伴う人的補償
2014年も11月下旬に入り、ストーブリーグが一気に熱を帯びてきた。メジャー移籍に関する日本人選手の報道が過熱する一方で、国内FA移籍のニュースも連日のように注目を集めている。FA宣言した選手たちの行き先、人的補償によって獲得する選手、金銭補償の有効な使い方。FA移籍にまつわる複雑な事情に迫ってみた。
2014/11/22
昨シーズンの〝一岡流出〟で痛い目を見た巨人
FA宣言した選手たちの動向が活発になってきている。
11月21日、かねてからFA宣言していたヤクルト捕手の相川亮二が、巨人への移籍を正式表明。また、横浜の金城龍彦が相川と同じく巨人入り、日本ハム内野手・大引啓之のヤクルト入団が決定するなど、流動的だった動きが徐々に固まってきた。
ロッテの左腕・成瀬善久はヤクルトへの入団が濃厚、日本ハムの小谷野栄一も移籍が確定的といわれ、各球団の来季の陣容がハッキリしつつある状況だ。
このFAによる移籍で、毎年のように話題となるのが人的補償の問題である。
各球団の選手は、年俸によってAランク、Bランク、Cランクの3段階に分けられている。そして、AランクおよびBランクに相当する選手(上位10名)、つまりチームの主力と目されている選手がFAによって他球団に移籍した場合、その選手が所属していた球団は、新たな所属先となった球団から 〝人的補償〟として選手を獲得できる。いわゆる「プロテクト外」の選手である。
FAによってBランク以上の選手を獲得した球団は、契約から2週間以内に、任意に選んだ28名の選手リストを作成しなければならない。これが、一般にプロテクトリストと呼ばれるもので、球団側が戦力として確実に残しておきたい選手と言い換えられるだろう。
そして、“選手を失った”側の球団は新人選手と外国人選手を除き、このリストから漏れた選手を1名獲得することができる。冒頭で名前をあげた相川はBランクにあたる選手といわれ、ヤクルト側は、巨人がプロテクトの28名から外した選手1名を獲得できる権利があるというわけだ。
同時に、金銭の補償も発生する。失った側の球団は、その選手がAランクの場合は現状の年俸の50%、Bランクの場合は40%の金額を獲得した球団に求めることが可能。選手による補償がないケースでは、それぞれ80%と60%にアップする。Cランクの選手に関しては、人的補償と金銭補償のいずれも適用されない。
こうしたプロテクト漏れの人的補償で、昨シーズン痛い目に遭ったのが巨人だった。
昨年のオフ、巨人は広島から大竹寛をFAで獲得。その人的補償として若手投手の一岡竜司が広島へと移籍したのだが、この一岡が今季、中継ぎとしてブレイク(31試合2勝0敗2セーブ、防御率0.58)。対する大竹は先発ローテの一角として20試合以上に先発(22試合9勝6敗、防御率3.98)したものの、活躍の度合いやインパクトという点で、一岡が上回ったと見る向きが大勢だ。
一部の広島ファンからは「一岡獲得の人的補償が大竹だったんじゃないか」という声があがるほどで、巨人サイドとしては苦々しい思い出。その二の舞だけは避けたいというのが本音だろう。