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ストーブリーグが過熱! FA移籍に伴う人的補償

2014年も11月下旬に入り、ストーブリーグが一気に熱を帯びてきた。メジャー移籍に関する日本人選手の報道が過熱する一方で、国内FA移籍のニュースも連日のように注目を集めている。FA宣言した選手たちの行き先、人的補償によって獲得する選手、金銭補償の有効な使い方。FA移籍にまつわる複雑な事情に迫ってみた。

2014/11/22

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人的補償による移籍で輝きを見せた福地寿樹

 昨シーズンの巨人の例に限らず、人的補償にまつわる物語はこれまでいくつもあった。一岡と同様に人的補償による移籍後、大活躍を見せた選手に福地寿樹(現ヤクルト一軍外野守備走塁コーチ)があげられる。

 当時、西武に所属していた福地は2007年のシーズンオフ、ヤクルトからFAで入団した石井一久の人的補償として移籍。その時点で32歳とベテランに差し掛かる年齢ではあったが、一軍でコンスタントな活躍を見せており、プロテクトから漏れていた事実に多くの西武ファンが驚きと落胆の声をあげた。

 しかし、ヤクルト移籍後の福地の活躍は見事だった。移籍初年度の2008年からトップバッターとしてレギュラーに定着。打率は3割超え(.320)でキャリア初となる規制打席到達を果たすと同時に、盗塁王(42盗塁)のタイトルを獲得。自身の選手生活において、最高の成績を残した。

 翌シーズンも盗塁王に輝くなど、その後も一軍の戦力として十二分な働きを見せた福地は、プロテクト漏れが功を奏した好例といえるだろう。

 福地と同じく、プロテクトから漏れたことでファンの悲鳴を聞いたのが、阪神(当時)の高濱卓也だ。2011年1月に、FAでロッテから阪神へ移籍した小林宏の人的補償としてチームを移った。2007年の高校生ドラフト1巡目で阪神に入団した高濱は、走攻守3拍子そろったショートとして将来を嘱望される逸材。それまで一軍出場こそなかったものの、不動のレギュラーである鳥谷敬の後継者との呼び声も高かった。

 さらに、移籍したのがシーズン開幕直前の3月上旬と時期もよくなかった。同年のキャンプやオープン戦で結果を残していたところでの一報に、異を唱える阪神ファンは少なくなかったという。

 それでも腐らずに腕を磨いた高濱は、今季のイースタン・リーグで首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得。一軍での試合出場数もキャリアハイの36を記録するなど、これからの活躍に大きな期待を抱かせる選手へと成長した。

 選手にとってもファンにとっても〝プロテクト漏れ〟は悲劇だが、一方で移籍したチームで結果を残せば、逆に選手や移籍先(移籍元の)ファンの幸福につながることもある。ヤクルト移籍後の福地が西武ドームでのゲームに出場し、西武ファンから大きな歓声を浴びるシーンは、人的補償という過酷なルールの現実を忘れさせてくれた。

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