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金村尚真、「回またぎ」起用の意図――すべては先発の道へ通じる【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#224】

チームの好調の要因の一つに、勝ちパターンの確立がある。そのセットアッパーの1人がもともとは先発候補だった金村尚真だ。しかしこれからの連戦を考えるとやはり先発候補を厚くしていく必要がある。そんななか新庄監督は金村を1軍で投球イニングを増やながら勝ちパターンの継投を崩さずに、先発の準備を進めようと考えているようだ。

2024/04/28

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産経新聞社



日本ハム・金村尚真

セットアッパーでいくか、先発転換か

 金村尚真の起用法が話題になっている。今シーズンは池田隆英の出遅れ(右ひじ炎症)もあって、セットアッパーとして勝ちパターン継投の重責を担っているのだが、そもそも彼をセットアッパーで使うこと自体に議論がある。解説者の金村曉氏は「先発で使えば間違いなく2ケタ勝つ」とずーっと言い続けている。まぁ、ドラフト時の期待もローテの一角に食い込んでほしいというものだった。持ち球にバリエーションがあり、どの球種も一級品だ。フツーに考えれば先発タイプなのだ。当然のように開幕当初、ファンの声も先発で使ってほしいというものだった。
 
 ところがセットアッパーとしてハマッたのだ。ファイターズはここまで下馬評を覆す健闘を続けているが、勝ちのファクターを探ると「下位打線の活躍」と「投手陣の踏ん張り」が大きい。4番マルティネスがなかなか点火しなかったのでもわかる通り、ファイターズは主軸の爆発でドカンと大勝したのでなく、下位打線がコツコツ点を稼ぎ、投手陣が僅少差を守って勝ってきた。1点差勝ちが多いのだ。もちろんのこと、河野竜生、北浦竜次、田中正義らとともに金村の働きが欠かせなかった。
 
 3月4月は連戦が少なく、先発のコマが4枚プラスアルファで回せたことも大きい。4枚というのは伊藤大海、加藤貴之、山﨑福也、北山亘輝の4人だ。本来はバーヘイゲンがそこに加わっている構想だったが、調整がうまく行ってない。根本悠楓、上原健太、鈴木健矢、田中瑛斗もローテを1シーズン守り切る評価に至っていない。初先発で評判になったのは福島蓮だ。金村が今後、配置転換されるとしたらこのメンバーと5枚め6枚めの位置を争うことになる。
 
 難しいところなのだ。金村ほどの大器はでっかく育てたい。ファイターズは(先日、29年ぶりの2試合連続完封劇があったけれど)リリーフの負担が大きいから、酷使して潰してしまわないか心配でもある。おそらく将来性を考えれば、中途半端な便利使いはやめて長いイニングを任せるべきなのだろう。相手打線を1巡め、2巡め、3巡めと組み立てを変えつつ仕留めていくには、頭と身体のスタミナが必要だ。それは実戦のなかで身に着けていくものだと思う。
 
 といって結果が出ているものを変えるのは大変だ。今、接戦をものに出来ている継投パターンの一角を敢えて崩すのだ。せっかく1点差勝ちができているのに、また昨シーズンの「1点差負けの山」に逆戻りかもしれない。僕自身も「先発タイプだけどなぁ」と「でも、ハマってるしなぁ」の間を行きつ戻りつしているような状態だった。早く池ちゃん(池田隆英)が帰ってきてくれたらこんな問題はすぐケリがつくのにと思いつつ。

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