金村尚真、「回またぎ」起用の意図――すべては先発の道へ通じる【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#224】
チームの好調の要因の一つに、勝ちパターンの確立がある。そのセットアッパーの1人がもともとは先発候補だった金村尚真だ。しかしこれからの連戦を考えるとやはり先発候補を厚くしていく必要がある。そんななか新庄監督は金村を1軍で投球イニングを増やながら勝ちパターンの継投を崩さずに、先発の準備を進めようと考えているようだ。
2024/04/28
産経新聞社
勝ちパターンで先発の準備は吉と出るか
そうしたら新ネタが投下された。新庄監督が記者談話で金村の新・起用プランを明かしたというのだ。5月下旬、4週連続6連戦が続くスケジュールをにらみ、先発の枚数を増やす必要がある。福島蓮ら「第2集団」に期待する一方で、「6連戦が続くから、先発の準備もさせていかないと。次2回、次3回とか、こっちでゲームに参加しながらの方が僕はいいと思う」(4/25付、スポーツ報知)と、1軍で「回またぎ」起用をしながら調整するアイデアを披露したのだ。2軍で先発登板させ調整するのでなく、1軍の実戦で投球イニングを増やしていく新機軸(?)だ。なるほどこれなら勝ちパ継投を崩さず、先発の準備ができる、のかもしれない。
そもそも金村の「回またぎ」起用はSNSで議論百出だった。新庄監督はどういうわけか金村を回またぎで使った。通常、セットアッパーは8回なら8回の1イニングを任される形が定型化しているのだが、どうも金村は違うのだ。「回またぎ」のリリーフは一度アドレナリンが出切って、インターバルの間にそれが落ち着いてしまうので、もう一度、状態をつくるのが難しいという。が、金村は淡々と「回またぎ」をこなしてしまう。別に起用の不満も言挙げしない。一部のファンは「酷使ではないか!」とSNSで沸騰していた。それがこれまで以上に「回またぎ」のイニングを増やしてゆき、先発に備えさせるという。なかなかの仰天プランだ。
たぶん金村には相当、頭の切り替えが要求されるだろう。爆発的に力を使えばいい「短距離走者」が、中距離、長距離とペース配分を覚えていくのだ。まぁ、建山ピッチングコーチも金村のスマートさを評価して、2軍調整不要のジャッジをしたのだろう。
僕には何とも言えない。これはもう個別具体のケースだ。敷衍(ふえん)して、ファイターズの投手全員に当てはまるよう「公式化」するもんじゃない。うまく行けなければ(2軍でステップを踏んだ?)再調整になるのかもしれない。ただ大事なことがある。新庄監督が「彼は将来的には間違いなく先発」(同紙、談話)と認識している点だ。ファンは2年めの新人王を期待して、起用法を云々(うんぬん)するかもしれない。だけど、「すべての道はローマに通ず」じゃないけれど、あらゆる起用が最終的には「先発の柱・金村尚真」に通じている。そのために経験値を稼いでいる最中だ、と思えば5月の観戦にグッと興趣が増す。金村がどうモデルチェンジしていくか。首脳陣がどう配慮し、どう導いていくか。そこのところを注視したい。