球界の巧打者が明かす四球論と野球の妙味。角中勝也と栗山巧、ともに四球は「狙って取りにいかず」
今季は開幕序盤から柳田や秋山の四球数の多さがクローズアップされた。しかし四球数が多いことが必ずしもプラスに働くとは限らないようだ。
2016/05/16
悪い意味で四球を選びすぎた
野球とは不思議なものだ。
ソフトバンクの柳田悠岐が驚異的なペースで四球をマークし、連続四球のプロ野球記録が騒がれ始めた4月初旬、ソフトバンクは開幕ダッシュに失敗していた。
ところが、柳田の四球数のペースが落ち着き、彼の安打数が増えていくと、チームが破竹の勢いを見せたのである。4月9日からは8連勝を含む11勝2敗1分けで4月を終えた。柳田の連続試合四球記録は18まで伸びたが、ソフトバンクの勢いは当時から今に至るまで続いている。
セイバーメトリクスがクローズアップされ、昨今は打者への評価は様変わりしつつあるが、四球数が多いことが必ずしもプラスに働くとは限らない。
そんなことを思ったのは、ある選手の言葉からだ。
「(2014年に四球数が三振数を上回った自身の)数字は知っていますけど、そこにこだわりはないんです。逆に、悪い意味で四球を選びすぎたと思っています。打てる球を見逃したり、打ち損じてファールになって、結局、四球を選んだ形が結構あります。その数字はいいことでもあり、同時に悪いことでもあると感じています」
そう語ったのは千葉ロッテの角中勝也である。
角中は首位打者のタイトルを獲得した2012年から4年続けて出塁率が.350超を記録している。2014年に、このコメントにある四球数が三振の数を上回るという味のある数字も残している。