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球界の巧打者が明かす四球論と野球の妙味。角中勝也と栗山巧、ともに四球は「狙って取りにいかず」

今季は開幕序盤から柳田や秋山の四球数の多さがクローズアップされた。しかし四球数が多いことが必ずしもプラスに働くとは限らないようだ。

2016/05/16

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打順によって役割は変わる

 三振より四球が多い。
 単純に考えただけでも、打者としてのレベルの高さがうかがい知れるが、角中は、昨シーズンからその数字を捨てさる覚悟で打席に立っている。
 
「四球の数が多いことが評価につながるかどうかは打順にもよると思うんです。今の僕に求められているのは塁に出ることだけではなく、走者を還すこと。2014年に残した四球数は誇れるものかもしれませんけど、自分はもっと打たなければいけないと思っています。去年はそこに取り組みました。
 
 本当はもう少し率を上げてシーズンを終わる予定やったんですけど、その作業をしている途中で骨折しちゃったんで、それがなければ、3割は普通に打てる手ごたえはありました。技術的には自分の納得するものであったと思っています。それは今年も同じですね。僕が1、2番バッターなら、四球が多いほうがいいのかもしれませんけど、今の置かれた立場がありますから」
 
 もともと角中の四球数が増えたのは、コースを限定して打つことを取り組んだからだ。特にアウトコースの低めに手を出さないと決めごとを実践しているうち、ボールになる変化球を見逃せるようになった。その結果、自然と四球数増加につながったという。
 
 その取り組みは試合に出始めたころからのものであり、1~3番を打つことが多かった当時は、角中にとって「四球」は打者としてキャリアアップの過程でのことだった。
 
 だが、今は29歳になる年齢を迎え、チームでは中核を担っている。年齢だけのことではなく、クリーンアップを任されている現状、チームが角中に求めているのは貴重な一打なのだ。
 
「今季は、四球を狙って取ることは、ほぼないっすね。タイミングが合えば、ストライクゾーンならどんどん打って行こうというイメージです。四球を減らそうとは思いませんけど、打点、得点に絡むことを一番に考えていかなければいけないと思っています」
 
 この週末の試合、角中は2試合に渡って9打席連続出塁をマークした。2本塁打を放ちながら、時に四球もしっかり選んでいるところは、彼の技術力の高さだろう。5安打4四球4打点6得点。自身の役割を認識し、成果を出している。

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