井口、伊志嶺、鈴木大地……主将の系譜をつぐ中村奨吾はロッテで輝けるか?
今年のドラフト会議で千葉ロッテから単独1位指名を受けた早稲田大学の中村奨吾。ここ数年、ロッテは大学時代に主将を務めた選手を獲得し、主力選手として活躍している。同じチームの井口資仁にあこがれる中村。内野の選手層が薄い千葉ロッテなだけに1年目からレギュラーを勝ち取るチャンスは十分にある。
2014/11/23
キャプテンとして苦しんだこの1年を糧に
兵庫生まれ。有力校がひしめく地元より「甲子園に出るにはライバル校が少ないかな」と天理高へ進学。2年夏から3季連続でその目標を果たし、同じく天理から甲子園に出場している父親と親子鷹になった。
早大では1年春からゲームに出て外野、ショート、セカンドとこなす器用さもある。3年までで打率.308、7本塁打。チャンスに強く大学球界注目の野手だった。
ところが主将となった4年の春秋2シーズンで数字が落ちてしまったわけだ。
「キャプテンになったプレッシャーで成績が落ちたと思われたくない。自分が乗り越えられなかった力不足です」
屈辱は今後の糧にするしかない。
3年の日米大学野球選考合宿で一学年上の阪神・梅野、広島・大瀬良らと一緒になった。
「梅野さん、大瀬良さんがプロでどれくらいやっているのか。自分のレベルも何となくつかめて目標になる」という。
『何事にも試みのないところに成功はなし』
お父さんが読んでいた本から抜き取って送ってくれた言葉だそうだ。挑んでみないことには全てが始まらない。自分流にアレンジして、「挑戦」という一語を胸に秘める。
岡村監督は「走攻守、大学ではトップレベルの選手。人生は順風満帆なことばかりではない。4年で不振だったことをこれからの野球人生にどう生かせるか。努力すればレギュラーを獲って中心選手になれる」とポテンシャルに太鼓判を押す。
3年夏の甲子園では初戦で履正社に敗れた。
そのショートが現ヤクルトの山田だった。
同じ兵庫出身で、リトルでも同じリーグでしのぎを削った三拍子備わる似たタイプ。山田は高校から直接プロ入りし、今年、日本人右打者のシーズン最多安打を記録するなど先んじた。まだ遠いが、中村はその背中を追いかける。