【データで選出3・4月月間MVP】月間貯金12のソフトバンク勢が上位を席巻。投手では西武・今井、日本ハム・北山が大きな成長
2024/05/08
産経新聞社、DELTA
急成長の今井達也、北山亘基がランクイン。セではわずか1勝の戸郷翔征がトップ
投手のWARは投球の質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、量は「投球回」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出。それが何勝分に値するのか換算したものが投手のWARとなる。
投手部門でパ・リーグは今井達也(西武)、セ・リーグでは戸郷翔征(巨人)がそれぞれ1.12、0.79とトップのWARを記録した。
圧巻の投球で3・4月を防御率0.77で終えた今井。セイバーメトリクスの観点から見てもその投球は圧倒的だ。平均が20%弱となる奪三振割合(奪三振/打者)で29.4%と三振を多く奪い、平均が8%ほどとなる与四球割合(与四球/打者)で5.9%と四球を少なく抑えた。今井といえば与四球の多い荒れ球投手として知られていたが、昨季から比べると与四球のペースが半減。それがこの好投を支えている。もともとポテンシャルが高く評価されていたが、いよいよ本格化してきたようだ。
戸郷の3・4月は1勝1敗と勝敗の面ではそれほど振るわなかった。しかし投球内容は圧巻で、今井同様、奪三振割合25.0%、与四球割合3.2%。奪三振と与四球で素晴らしい貢献を見せた。勝敗にその貢献度が反映されていないのは、9イニングあたりの援護点がわずか2.25点と打線の援護がなかったことによるものだ。
今季救援から先発に転向し素晴らしい投球を見せている北山亘基(日本ハム)もパ・リーグ4位に入った。救援からの転向は、全力投球ができなくなるために投球の質が悪化するのが普通だ。にもかかわらず北山は奪三振割合を昨季の21.2%から今季29.9%に劇的に向上させている。より長いイニングを投げるにもかかわらず、ストレート平均球速は昨季から約1km/h伸びており、投手として根本的な出力が向上した様子がうかがえる。この投球を維持できれば11月からの侍JAPAN選出も期待できるかもしれない。
DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。
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