〝まさか〟の二人がFA宣言 近藤健介のショート起用から見えたファイターズのブレない方針
この4年で、ファイターズの選手の入れ替わりが激しい。特に長年チームに在籍した実力のあるベテラン、中堅組が相次いでチームを去った。そして、今季もまた二人のレギュラーが……。新陳代謝を促し、常に競争をつくりだすチーム方針はブレない。実際に若い有望な選手が芽を出しつつある。
2014/11/25
常にポジション争いという環境下で、チームの底上げを図る
その意味で印象深かったのが、入団3年目となる近藤健介の起用法だ。
小谷野が戦線離脱していたとはいえ、今季、捕手として期待されていた近藤が三塁手に抜擢されたのは驚きだった。しかも彼はシーズンを通じて三塁を守り続け、ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第5戦では遊撃の守りにもついた。
三塁手・近藤にはすでに慣れていたが、遊撃起用にはさすがに驚かされた。
この近藤の起用によって、小谷野、大引が「自分に安住の地はない」と考えたとしても不思議ではない。加えて、報道されているように田中が復帰すれば、内野のポジション争いはさらに激化することになる。
それがすべての原因ではないが、近藤の台頭もあって、鶴岡、小谷野、大引がチームを去ることになった。若手にチャンスを与えるということは、主力、功労者、人気者が出ていくということ。新陳代謝を重視するファイターズにおいて、これは避けられないことだ。
野手で絶対的な存在といえるのは、中田翔と陽岱鋼くらいだろう。
限られた予算でチームを運営する北海道日本ハムにとって、9つのポジションすべてが「替えの効かないメンバー」で埋まっていることは、むしろ好ましくない。「このポジションを獲るのはだれだ!?」というのが、いくつかあるほうがいい。
小谷野と大引が去るのは残念なこと。ついつい口笛を吹いてしまう、あの小谷野の応援歌を来季は歌えない……と考えると正直、寂しくなる。
だがこれは高橋のとき、ダルビッシュのとき、糸井のとき、そして鶴岡のときに経験したこと。やがては慣れてしまうのだ。
二人がいなくなることで鎌ヶ谷の二軍施設で汗を流す若手たちは俄然、目の色を変えるはず。
このチームには、それが何よりも大事なのだ。