中島卓也「ファウルを狙って打つ」技術に息づく日本ハムの伝統【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#30】
北海道日本ハムファイターズの中島卓也は「ファウルを狙ってファウルを打っている」、高レベルの技術の持ち主だ。
2016/05/29
田中賢介はつなぎのスタイルの手本
もう一人、中島の技術には先輩が関与している。僕は以前、新聞コラムの冒頭に「09年、パの最多ファウル打者は誰?」「同、最多ボール打者(最もボールに手を出さなかった)は誰?」「同、最多球数打者(最も投手に球数を投げさせたは誰?」というクイズを出題したことがある。これが15年シーズンだったら当然、「中島卓也!」と即答だが、09年は田中賢介なのだ。中島のつなぎに徹するスタイルにお手本がいるとしたら、間違いなく賢介なのだ(余談だが、その新聞コラムが掲載された直後、たまたま森本稀哲に会って「あれのリーグ2番は誰でしょう?」とクイズを出された。答えはひちょりだそうだった。そんな選手が並んでたんじゃ打線もつながるわけだ)。
ところでこの打席の中島に対して、NHK解説者の宮本慎也氏が面白いコメントをした。
「結果球はどういう球になってるかをよく調べて、最初からその球を投げてレフト前へ打つなら打って下さいくらいの感覚のほうが球数少なくてすみますよね」
宮本さんは自身が粘るタイプの打者だった。で、(同一リーグのベイスターズから)相川亮二がヤクルトに移籍してきたとき、「結果球はカーブが多かったから、最初からカーブを投げさせていた」と教えられたそうだ。まぁ、打ち損じも計算に入れ、前へ打たせたほうが球数を節約できると割り切ったわけだ。宮本さんはなるほどと思ったそうだ。
ただ中島の場合を考えると、これまでの粘りの打者と次元が違う。「ファウルを狙ってファウルを打っている」のだ。結果球を調べてそれを放られても、たぶん見事にとらえて横に打ってしまうだろう。申し訳ない、それは結果球ではなく経過球になるだけだと思う。
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