中日・田島、無失点記録継続中。担当スカウトが語る、“無名大学”出身の男が成功した理由
開幕からの28試合無失点記録をマークした中日・田島慎二投手。なぜ、彼は偉業を達成し続けるのか。田島のアマチュア時代を知る中日の担当スカウトを直撃した。
2016/05/28
竜スカウト「打たれたところをみたことがない」
5月27日の登板でも好投し、開幕からの連続無失点記録を28試合に伸ばした田島慎二(中日)。NPB記録を更新している剛腕の快刀乱麻は、プロ入りの夢をつかんだ大学当時の姿と重なって見える。
田島は2011年のドラフト会議で中日から3位指名を受けた。東海学園大でプレーした田島は、大学生活のほとんどを愛知大学リーグの二部で過ごしていた。それでも140キロ台の剛球を連発し、中日で東海地区などを担当する中原勇一スカウトを唸らせた。当時の田島について、中原スカウトは「打たれたところを見たことがない」と振り返る。
「僕が見に行ったときはいつも抑えていました。彼からヒットを打ったら珍しい、そんな印象です。二部リーグではありましたが、浅尾拓也(現・中日/日本福祉大時代は二部でプレー)の前例もありましたし、田島もレベルが違いましたね。すごい球を投げよるな、という感覚でした」(中原スカウト)
投げっぷりのよさは下級生時から目立っていた。
腕が振れて、球にパワーがあった。田島は大学2年春の1シーズンのみ、一部リーグを舞台に戦ったが、二部リーグから昇格したばかりの東海学園大に対する周囲の見る目を変えさせた。勢いに満ちた力感溢れるピッチングで、打者はスイングしても差し込まれ、ファールが反対方向に飛ぶのみだった。
精密なコントロールを備えているタイプではなかったが、勢いのよさで打者を圧倒した。一部リーグで投げた2年春は57投球回でリーグ最多の40四死球を与えたが、防御率は2.21とまとめている。
中原スカウトも「突如乱れることはありましたが、勢いが(並の投手と比べて)違いましたからね」と、制球力はそれほど大きな欠点とは思わなかったという。
思い切り腕を振り、投げっぷりよく抑える。
田島の本質の一部分は、今でも変わっていない。