パの打者は「待たずに初球からくる」。竜捕手陣は相手だけでなく自分のクセも研究せよ【小田幸平の眼】
いよいよ交流戦がスタート。昨年は圧倒的な強さを見せたパリーグに対して、中日ドラゴンズのバッテリーはどのように戦っていけばいいか? ドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏に話を伺った。
2016/05/31
交流戦で失速する危険性も
――ここまでドラゴンズは一進一退の戦いぶりながら単独2位をキープしています(5月30日時点)。交流戦ではどのように戦っていけばいいのでしょう?
小田 これはドラゴンズに限らないのですが、交流戦は順位が大きく入れ替わります。たとえば、普段の試合なら自分のチームが負けても同じリーグの他の2チームも一緒に負けるので、あまりゲーム差は開きません。
ところが、交流戦では自分のチームだけが負けて、他の5チームが全部勝つことも考えられます。ズルズルと負け続けると、ペナントレースに戻ったときに他のチームと大きく差が開いてしまう恐れがあるのです。昨年のDeNAのように大きく失速してしまうことがあるので、交流戦は注意が必要でしょう。
――交流戦といえば、とにかくパリーグが強いという印象があります。実際、「セ界恐慌」と呼ばれた昨年は、1位から5位までをパリーグが独占しました。小田さんは経験上、セ・リーグのチームと戦うときと交流戦でパリーグと戦うときで何か変えていたことはありますか?
小田 セリーグの打者は「待つ」という印象がありますが、パリーグの打者は初球どんどん振ってくるので、そこには十分気をつけて攻め方を研究していました。先日のヤクルト戦でビシエド選手が初球をホームランしましたけど、パリーグの打者はみんな外国人選手みたいな感じがしましたね。
もう一つは、DHに対する注意です。セリーグの場合は投手も打席に入るので、基本的には8人攻撃です。投手の打席ではちょっとホッとする部分があります。一方、パリーグの打線はDHも含めた9人攻撃です。これはかなりイヤでしたね。
――どういった部分がイヤだったのでしょう?
小田 攻撃が切れ目なく続くところです。投手が9番に入っていれば、三振も取りやすいですし、バントの場面でも失敗する可能性が高い。セ・リーグでは「9番で攻撃は一区切り」という考え方もあります。
でも、9番に入っているのが野手ならバントが成功する確率も高いですし、ヒットエンドランのような作戦だって仕掛けられるかもしれません。普段からDH制のパリーグは、切れ目のない「9人攻撃」に慣れているんです。息つく暇がないというのが正直なところでしたね。