伏見寅威、目的のある2軍調整。マイナスイメージは微塵もなし【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#228】
6月17日に伏見寅威が1軍登録抹消となった。今季は田宮裕涼の台頭があり、伏見のみならず捕手登録選手の起用が難しい状況だ。その伏見をファームで調整させることは様々な意味がある。
2024/06/23
産経新聞社
故障ではないのにファームへ
交流戦明けの6/19、イースタン公式戦(オイシックス10回戦)を見に鎌ケ谷へ出かけた。17日の公示で伏見寅威が1軍登録抹消になり、もしかしたら鎌スタで見られるかもしれない。可能なら柳川大晟ら、成長株の球を実戦で受けてもらいたい。ワカゾーにとって、実績あるベテランとバッテリーを組むのはとても貴重だ。投球の組み立てを学ぶ機会になるかもしれないし、間合いや呼吸をつかむきっかけになるかもしれない。1.5軍、2軍級のピッチャーにとって「自分の良さ(ストロングポイント)」を知るのはものすごく重要だ。「自分の良さ」を磨くのが、結局、1軍へのいちばんの近道だったりする。伏見に受けてもらって、「お前、この球使えるよ」とうまくリードしてもらえたらきっと自信になるだろうと思った。
が、僕の希望は半分叶って、半分は叶わなかった。伏見は2番キャッチャーでスタメン出場、3の2でホームランまで打ってくれたのだが、組んだのは上原健太の5イニングのみ。上原は北山亘基の左足疲労骨折→戦線離脱を受け、ローテを埋める役割が期待されている。まぁ、ワカゾーではなく、「実績組」の中堅と表現すべきだろう。上原は5回82球、被安打4、失点1の内容だった。文句ない調整登板だ。ま、僕の鎌ケ谷観戦のニュアンスは「青春ものだと思って映画館へ飛び込んだら、大人のリアルストーリーだった」というところか。
伏見の抹消をめぐってはSNSでファンの論争が巻き起こったと聞いている。特段、ケガという話も聞かないし、実力からいって2軍降格の理由が見当たらない。監督のえこひいき(?)のようないきさつで伏見は干されたんじゃないかという見方が出たようだ。まぁ、すべては憶測だが、確かに唐突なタイミングの抹消ではあったのだ。
これに関しては抹消の翌日(19日)、新庄監督自身が報道陣に対し、その意図を語っている。「やっぱ田宮君も育てないといけないし、ベンチでずっといるんだったら20から25打席、向こうで感覚をちょっとつかませたい」「結果どうこうじゃなくて、28日には戻す」。非常に明快だと思う。あくまで試合勘を失わせないための降格であり、一時的な措置だ。具体的に打席数を挙げている点も見逃せない。リフレッシュさせて、バッティングの感覚もつかませたい。評判の佐藤友亮コーチに助言してもらうこともできる。主力としての期待はブレていない。これから後半戦、勝負どころで働いてもらう。