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伏見寅威、目的のある2軍調整。マイナスイメージは微塵もなし【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#228】

6月17日に伏見寅威が1軍登録抹消となった。今季は田宮裕涼の台頭があり、伏見のみならず捕手登録選手の起用が難しい状況だ。その伏見をファームで調整させることは様々な意味がある。

2024/06/23

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産経新聞社



田宮にも伏見にもプラス

 ただ今シーズンは田宮裕涼の急成長というファクターがある。伏見の起用が難しくなっている(というか、ファイターズの捕手登録選手の起用が難しくなっている)のは、一にかかってそこが理由だ。出場機会を求めてFAしてきたはずの伏見が試合に出られない(出られないわけじゃないが、少ない)、捕手で出る方がリズムを作りやすいマルティネスがDHかファーストを守っている、今もバッテリーミーティングの顔を出す郡司裕也がサードを守っている、そうしたすべての理由だ。監督のえこひいき(?)ではなく、田宮の活躍はそれだけ価値のあるものだ。例えば伏見のFA加入の段階で、田宮がこれほど伸びるとは誰も想定していないはずだ。
 
 田宮はこれからの選手だから試合に出して経験を積ませる。バッテリーミスの後逸でサヨナラ負けを喫しても、それが経験だ。必ず実になる。といって伏見の実力は認めているのだ。僕はファームで上原と組ませて、調整させたのは含蓄があると思っている。上原は上原で(多く組んできた清水優心でなく)「伏見に受けてもらって、『お前、この球使えるよ』とうまくリードしてもらえたらきっと自信になる」と、さっき若手投手について言及したのとそっくり同じことが言える。伏見は伏見で前向きな2軍調整だ。上原を勝たせて、自身もホームランをかっ飛ばす。「干される」「干されない」みたいなマイナスイメージのところは微塵もない。
 
 微塵もないどころか、上原にも伏見にもファイターズは働いてもらうつもりなんだなと思った。目的を持った試運転。イメージは開幕バッテリーがオープン戦に出てきたみたいだった。上原健太がこの夏場、どのくらい仕事してくれるかでチームの浮沈は決まる。連戦連勝は望めないとしても、イニングを食ってもらわなきゃいけない。まぁ、僕らはカード頭の「エース対決」みたいな派手なところに目を向けがちだが、ローテの谷間で勝ちを拾えるかはむちゃくちゃ重要なのだ。
 
 交流戦明け、1軍日程の空白期間、僕がイースタンで見たのはシーズン佳境へ向けて、価値のある一戦だった。上原は順調だ。伏見も順調だ。ていうか、そのイメージを持って再昇格してもらうためのものだった。いい試合を見に行った。

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