新井貴浩の獲得は、『情け』ではない――今、カープが必要としている〝強さ〟とは?
かつてカープの4番に座った新井貴浩がチームに戻ってくる。ファンの中でも賛否両論のある新井の復帰。なぜカープは、一度FA移籍した男を再び獲得したのだろうか?
2014/11/28
今、カープには新井の〝強さ〟が必要だ
熱狂的で知られるカープファンだ。
FA移籍で一度はチームを去った主砲に厳しい見方をする者も少なくない。
古巣球団がFA移籍で離れた男を再び迎え入れる「浪花節的」ストーリーを頭に描く野球ファンも少なくない。
しかし、カープの考えは、いずれも当てはまらない。
球団幹部は理路整然と語る。
「彼がカープを出てからの7年間、うちはサードのレギュラーが固定できなかった。サードを奪い取る選手が出てきてほしい。競争の中から誰かに出てきてほしい。そう、強いサードが必要なのです。彼は練習もするし、強さがある。新井は、若い選手の見本にもなるし、当然、戦力としても大きい」
ユニフォームを泥だらけにして打球を追う。渾身のフルスイングでピッチャーに立ち向かう。ベテランになっても、新井の姿勢は変わらない。「もちろん、結果を出すことが必要です。それに、姿で示すことも大事です。ガムシャラに泥だらけになってやる中で、結果を出したいです」
ドラフト6位からレギュラーを勝ち取った、強さ。
涙ながらに故郷を去る決断、そして、新天地でも4番を張った、強さ。
そして、あえて自由契約の道を選び、古巣にチャンスを求めた、強さ。
カープには今、〝強さ〟が必要なのだ。
それは新井の〝強さ〟であり、新井を超える若武者の〝強さ〟でもある。
新しい背番号は28に決まった。
そう、カープ黄金時代の〝強い〟三塁手の象徴・衣笠祥雄氏がルーキー時代から10年にわたり背負った番号である。
2015年、真っ赤に染まったスタジアムに、「強い背番号28」が帰ってくる。