大田泰示、由伸巨人の「超攻撃型1番バッター」定着への道【死亡遊戯コラム】
交流戦から1番を任されている大田。高橋由伸監督も今季こそはと期待を懸ける。
2016/06/10
理想の選手像は「マイク・トラウト」
思えば、由伸監督自身も07年に「恐怖の1番バッター」として原巨人をリーグ優勝に導いた過去がある。
1番高橋由伸は打率.308に加え、35本塁打を放ち、年間先頭打者アーチ9本はプロ野球記録。
これまでの常識を覆す、自ら試合を決められるトップバッター。
原監督は理想の1番像に「チームを勢いづけられる小力のある選手」を挙げており、その後も坂本勇人や長野を起用した。
今の巨人の外野手で一発を打てるパワーとスピードを両方兼ね備えた選手は大田しかいない。
長野は右膝手術の影響もあり盗塁数が激減、期待された立岡は故障離脱し、松本哲也や重信慎之介はいかんせん非力だ。
以前、大田にインタビューをした時、子どもの頃の憧れの選手を聞いたら「広島の緒方孝市さんです」と答えてくれた。
3年連続盗塁王を獲得する一方で二桁本塁打を放つパンチ力も併せ持っていた1番緒方。
さらに目指している選手像はMLBを代表する5ツールプレイヤー「マイク・トラウト」と即答。
「右打者でセンターで足が速くて、守備もうまくて、打てる。僕も長打、走塁、守備、全部で勝負します」
時間はどんどん過ぎ去っていく。
勝負どころで故障離脱を繰り返し、2軍には年下の選手が増え、先日キューバ代表の23歳外野手ホセ・ガルシアも入団。
この間まで「なんで大田を使わない?」と野次っていた東京ドームのファンが、最近は「なんで岡本を使わない?」と怒ってる。
思えば、大田はプロ入りしてからずっと過剰な期待に晒されてきた。
入団して即55番を託され、監督は母校の偉大な原先輩。
8年目の今季は初めてそのすべての重圧から解放されたとも言えるだろう。
大田泰示、26歳。
外野守備では度々不安定さも露呈。だがそれを補うスケールと可能性がこの選手にはある。
未完の大器と言われ続けた男は、超攻撃型1番打者として生き残れるか?