ソフトバンク・工藤監督はなぜ打順固定を図らないのか? 常勝王国築く指揮官の狙い
福岡ソフトバンクホークスは交流戦に入っても負けない。パリーグ3連覇に向けて勢いは加速。首位を独走する王者の強さはどこにあるのか。
2016/06/14
投手力もすごいが選手層の厚い野手陣
福岡ソフトバンクホークスが猛烈に強い。2リーグ制後初となる6月中の優勝マジック点灯の可能性も現実味を帯びてくるなど、リーグ首位をぶっち切る勢いはとどまるところを知らない。
やはり際立っているのは投手力。
12球団トップのチーム防御率を見れば、それも一目瞭然だろう。
しかしながら勝負どころでキッチリと得点を重ね、チームに白星を運び込む強力打線も非常に安定している。
そこに秘められているのは工藤公康監督が主軸以外のメンバー固定をあえて明言せず、当落線上にいる野手陣たちの競争力を生み出すことによって、それが大きなプラス材料となっていることだ。言わば、これは『野手版・内なる戦い』と評していいかもしれない。
3番・中堅の柳田悠岐、4番・一塁の内川聖一は開幕から固定。6月7日のDeNA戦(ヤフオクドーム)以降は、ここまで5番から7番にはDH・長谷川勇也、三塁・松田宣浩、左翼・中村晃が起用され続けている。 12日の巨人戦(ヤフオクドーム)で17試合連続安打をマークした1番・遊撃の今宮健太、2打席連続本塁打でヒーローとなった2番・右翼の城所龍磨、そして9番・二塁の牧原大成も6試合連続でスタメン出場を果たしたが、今宮以外、この日8番・捕手で先発マスクを被った高谷裕亮を含む3野手に関しては必ずしも「絶対安泰」とは言い切れない。
ポジション奪取を虎視眈々と狙うサブメンバーが控えているからである。
右翼の座を狙うのは吉村裕基と上林誠知、さらには二軍にいる福田秀平と江川智晃も控えている。二塁は本多雄一と高田知季、捕手に関しても鶴岡慎也や二軍調整中の細川亨が、それぞれ「スキあらば」と目をギラつかせている状況だ。