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〝日本のマリアノ・リベラ〟岩瀬仁紀は、もはやレジェンドだ!【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第22回目は、中日ドラゴンズの岩瀬仁紀についてだ。

2014/11/28

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驚異的な岩瀬の勝利貢献度

 岩瀬はNTT東海から中日に即戦力として入団した。当初は中継ぎだった。
 中継ぎとしても優秀な成績を上げてきたが、2004年落合博満監督によってクローザーに配置転換され、そこから目覚ましい活躍をしたのだ。

 以後、岩瀬の勝ち星+セーブ数がチーム勝利の50%を超えるシーズンが5回もある。
 中日にとっていかに岩瀬の存在が大きいか、ということがこれでわかるだろう。

 驚くべきは、岩瀬がクローザーに転向したのは29歳のときだったことだ。
 大卒から社会人を経た岩瀬、プロ入りは遅かった。入団後5年間は不動の中継ぎとして活躍したのちに、クローザーとなった。

 これがどれほどすごいことかは、セーブ数10傑の選手の年齢別のセーブ数の推移を見れば一目瞭然だ(年齢は各年10月1日時点を基準とする)。太字はタイトル。MLBの数字も載せるが、台湾、韓国、日本の独立リーグの成績は割愛した。

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 2位の高津以下、多くのクローザーは20代半ばで抑えに転向し、その直後にセーブ王のタイトルを取っている。

 日本のクローザーのパイオニアである江夏豊はそもそも若い時代にはセーブの制度がなかったのだから例外だが、多くのクローザーは20代後半から30代前半にピークを迎え、30代後半には衰えているのだ。過酷なポジションだけに体力の衰えとともに数字は落ちていくのだ。

 しかし岩瀬は30歳近くでクローザーに転向し、30代で生涯セーブ数の90%以上にあたる374セーブを挙げている。そして10年連続20セーブ以上。
 驚異的なスタミナと故障知らずの強靭さが、岩瀬をレジェンドへと押し上げたのだ。

 付け加えるなら、同時期のクローザーがMLBに挑戦したのに対し、岩瀬はNPBにとどまって数字を積み上げた。NPBに復帰したクローザーの多くがその後、満足な成績を上げていないことを見ても、NPBで投げ続けたことも大きかっただろう。

 岩瀬は11月に40歳の誕生日を迎えた。
 今年の成績を見れば衰えは隠せないが、左腕から繰り出す必殺のスライダーはまだ十分に相手打者を抑えることができるはずだ。

 MLBでは昨年、ニューヨーク・ヤンキースのマリアノ・リベラが652セーブの大記録を打ち立てて引退した。リベラもカットボールというマネー・ピッチでセーブの山を築いてきた。

 岩瀬仁紀はすでにリベラに匹敵する偉大な存在である。来季も奮起して自己の最多セーブ記録を更新してほしいと思う。

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