巨人、橋本到の現在地――故障者多い外野陣で求められる役割【死亡遊戯コラム】
16日の楽天戦でプロ初の4安打をマークした橋本到。これまで何度もチャンスをつかみかけては逃してきた男にとって、今回こそ一軍定着となるか。
2016/06/17
立岡に出場機会を奪われた男
東京ドームにようやくその男が帰ってきた。
巨人の背番号32。橋本到である。
16日、楽天戦で「1番センター」として先発出場するとプロ初の4安打を記録。チームの5割復帰に貢献した。
試合後のお立ち台では「もっと打ちたいです」とサッカー日本代表・本田圭佑ばりの強気のコメントも復活。
今季はキャンプ前の自主トレ中に右ふくらはぎ肉離れで離脱、2月の宮崎キャンプ取材に行った時も室内練習場のリハビリ組で調整する橋本の姿があった。
開幕後も2軍暮らしが続き、今月12日に昇格するまで1軍出場もなし。
つい数年前まで、坂本勇人に次ぐ巨人の有望若手野手として期待されていた男は、昨季ある1人の選手の台頭でポジションを失うことになる。
同じ90年生まれの立岡宗一郎である。
立岡はシーズン中盤から1番センターとして定着すると103安打を放ち、規定打席未到達ながらも打率3割を記録。文句なしの2015年若手MVPプレーヤーだ。
こんな時ファンは喜んだなあと、ふとこう思う。
「これで他の選手の出番が減ったな…」と。
同じ左打ちアラサー外野手松本哲也、立岡と同い年の大田泰示、さらに立岡の1つ年上で一時外野にも挑戦していた藤村大介は15年1軍出場0に終わった。
つまり、誰かがそこに座れば、誰かは弾き飛ばされる。
レギュラーからベンチへ。東京ドームからジャイアンツ球場へ。
そして一度そのイスを失うと敗者復活はなかなか難しい。どんなに時間をかけてモノにしても、失う時はあっけないものだ。