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故障が心配な藤浪晋太郎と大谷翔平。PAPで見る投手の酷使度【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は投手の酷使度についてだ。

2016/06/18

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パでは2人がPAP20万超え

 MLBで重要視されている投手の指標にPAP(Picher abuse point=投手酷使指数)がある。先発投手が1試合で投げた球数から100を引き、これを3乗したものだ(100球以下は計算せず)。
 単純な数字だが、これを加算した数字がシーズンで10万を超えれば故障の可能性が高く、20万を超えればいつ故障してもおかしくないとされる。

 その数式に基づき、今季のNPBの規定投球回数以上の先発投手のPAPを見てみよう。PAP/Gは1試合当たりのPAP。

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 まだシーズンは半分に達していないが、パリーグではPAPが黄信号の10万を超えている投手が6人。20万超が楽天の則本、オリックスの金子と2人いる。
 セリーグは20万超はいないが、10万超が3人いる。

 数字を見ると、似たような球数を投げながらPAPの数字が全く違うケースが散見される。
 金子千尋は1391球を投げてPAP21.7万、菊池雄星は1398球を投げてPAP4.1万。
 これは、1試合当たりの球数の差によるものだ。
 金子は4月16日の141球を最高に、120球以上投げた試合が6試合もある。菊池は123球が1試合あるがそれを含め120球以上投げたのは2試合だけだ。
 141球投げるとPAPは6.9万にもなる。PAPの数字の差は非常に大きくなるのだ。

 もちろん20万を超えたからと言ってすぐに故障するわけではない。しかし、肩の酷使がリスクを高めるのは間違いない。

 昨年の両リーグの規定投球回数以上の先発投手のPAP。

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2015c

 昨年は両リーグともに10万超えが8人、20万超が3人だった。
 阪神の藤浪晋太郎のPAPは68.4万、中日の大野雄大は45.7万だった。今季、大野は4月半ばに登録抹消され6月4日まで一軍で投げることができなかった。また藤浪は、防御率が2.40から3.27と下落し、打ち込まれるケースが増えている。もともと藤浪は球数の多い投手だ。これまでの疲労の蓄積が体に影響を及ぼしていないか気がかりだ。

 藤浪のPAPは今後も増えることが予想される。それだけ、故障のリスクは高まっているとも言えるだろう。

 また大谷翔平は今季12.3万。昨年は17.6万だったから、最終的には危険水域の20万を超えると予想される。これも懸念材料だ。

 ロッテのエース涌井も昨年20万を超え、今季もそれに近づいている。リスクは高まっている。

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