中日・小笠原は変化球を磨くより、ストレートで押し通せ【小田幸平の眼】
黄金ルーキーの小笠原慎之介が交流戦で1軍デビューを飾った。3試合に登板して、初勝利こそ得られていないが、随所に光るピッチングを見せている。未来のドラゴンズを担う左腕についてOBで評論家の小田幸平氏に話を伺った。
2016/06/21
もっと左打者のインコースを突くことが大事
――ほかに何か気になる点はありましたか?
小田 リード的には、左打者のインコースへのボールが少ないのが気になりました。ドラゴンズにいたチェン(現・マーリンズ)がなぜ相手打者に怖がられたかというと、左打者のインコースへのストレートやシュートを投げることができたからです。すると、打者の腰が引けてしまって、スライダーがものすごく効果的になる。小笠原にも、そんなピッチャーになってほしいですね。
――それにしても、強心臓と言いますか、マウンドさばきも堂々としていますよね。
小田 そうでもないんじゃないですか? 「緊張しない」と言う人が一番あやしいんですよ(笑)。今後、終盤の大事な場面で投げることも増えてくると思いますので、そこでどんなピッチングができるかどうか、見守っていきたいですね。
――お話を伺っていると今後も期待できそうです。苦戦しているドラゴンズの救世主になってくれるような気がしてきました。
小田 絶対になると思いますよ! そのためには、変化球を磨くのではなく、まっすぐを磨くべきだと思います。そのほうが投手として伸びるはずです。僕が毎打席ホームランを狙って大振りばかりしていたらおかしいでしょ?(笑) 大切なのはどんな選手を目指すかということ。小笠原には、ストレートで攻める投手になってほしいですね。
あとは大胆に腕を振って投げること。小笠原は、相手の打者が「クロスボールが来る」と思っていても、ストレートのクロスボールを放ることができますよね。それは小笠原が強気のピッチングができるということなんです。どんどん強気で投げていけばいいと思いますよ。
――わかりました。小笠原には、このままドラゴンズの左腕エースの系譜に連なる存在になってほしいですね!
小田 そういえば、小笠原は大野の手袋を借りて打席に入っていたね。手袋に「22」と入っていたからわかったんだけど、投球でも大野のぐいぐい攻めるスタイルを見習って、ドラゴンズの左腕エースになってほしいね!
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小田幸平(おだ・こうへい)
1977年3月15日、兵庫県高砂市出身。ニックネームはODA(オーディーエー)。市川高校、三菱重工神戸を経て、97年ドラフト4位で巨人に入団。06年に野口茂樹の人的補償として中日に移籍。谷繁元信現監督の控え捕手として、チームのリーグ優勝3回、日本一1回に貢献。現役引退後は野球解説者はじめトークショーや講演、野球教室、イベントなど精力的に活動している。