〝元凶〟にメス。最下位から一気に優勝争いへ! 異例の「大型FA補強」に見るヤクルトの本気度
2年連続の最下位に終わったヤクルトが動いた。前日本ハムの大引啓次に続き、前ロッテの成瀬善久もFAで獲得。1993年のFA制度発足以来、相川亮二(前横浜)と藤本敦士(前阪神)の2人しか獲ったことのなかったヤクルトにとっては異例の「大型補強」である。それは真中満新監督を迎え、来季の巻き返しにかける「本気」の表れと言っていいだろう。
2014/12/01
投手と遊撃手──明確だった補強ポイント
「補強があったとは言えない中で今季、戦っていただきまして、監督に苦しい思いをさせたのではないかということで、私も非常に反省しております」
ヤクルトの衣笠剛球団社長兼オーナー代行が、自らを含めたフロントの責任にそのように言及したのは、小川淳司前監督が今季限りでの退任を表明した9月22日のことだった。
昨年も最下位に終わり、オフには中日からFA宣言した中田賢一の獲得に動いたものの、これに失敗。結果として補強らしい補強のないまま今シーズンに臨み、ヤクルトはあえなく2年連続の最下位に沈んだ。
その〝元凶〟は誰の目にも明らかだった。チーム打率.279はリーグNo.1、得点667は両リーグトップと、打線はセ・パ12球団でも屈指。その一方でチーム防御率4.62、失点717はいずれも両リーグワーストと、投手陣が足を引っ張る格好になっていたからだ。
特に先発陣は館山昌平をはじめ、ドラフト1位ルーキーの杉浦稔大、2年目にして開幕投手を務めた小川泰弘など、序盤から故障者が続出。その結果、チーム全体でクオリティー・スタート(先発投手が6回以上投げて自責点3以下に抑えた試合、以下QS)を記録した割合を示すQS率は、リーグで唯一5割未満の47.2%と、先発が「試合を作る」こともままならなかったのである。
守りの面では内野の要たる遊撃手を固定できず、森岡良介を筆頭に6人の選手を起用したものの、遊撃手の守備率.969はリーグワーストのDeNA(.968)と僅差の5位。しかも、守備機会では同じく6人の遊撃手で717を記録したDeNAに対し、ヤクルトは650と水をあけられ、守備率に関しても7月にソフトバンクへトレードされた川島慶三を除くと.966となり、DeNAに抜かれてしまう。
そのあたりを踏まえ、来季から指揮を執る真中新監督は投手を含めたディフェンス面を補強ポイントに挙げ、就任会見でも「いいピッチャーがほしいという話をさせていただきました。先発も頭数が足りないので、その辺をカバーできるピッチャーと、あとはショートですね」と、改めて衣笠社長に要望したことを明らかにしていた。