ロッテ・成田翔、小さな大投手への第一歩。小谷二軍投手コーチは通算128勝の名投手に重ねて評価【マリーンズ浦和ファーム通信#21】
2015年ドラフト3位でマリーンズに入団した成田翔が、6月18日にプロ入り初先発を果たした。
2016/06/20
千葉ロッテマリーンズ
成田の特長
真夏のような暑さの中、涼しげに投げた。注目の高さがうかがえる。6月18日。小さなサウスポーのイースタンリーグ初登板初先発を見ようと、ビジターであるスワローズの二軍本拠地・戸田のグラウンドに沢山の報道陣が駆けつけた。スタンドは満席となり、河川敷の土手から試合を見るファンも多くいた。拍手が沸き起こる中、千葉ロッテマリーンズのドラフト3位ルーキー・成田翔投手(秋田商業)は期待と注目の中、プロの第一歩を踏み出した。
「緊張はしませんでした。楽しみでしたね。やっと、プロ野球選手として、始まったなあという感じです」
5回を投げて被安打2、無四球、無失点。デビューは上々だった。ストレートのMAXは140キロながら、そのボールにはキレがあり、打者も戸惑いを見せていた。
三塁側ブルペンの奥に設置されている投手が待機するために用意されたベンチの一番、端には小谷正勝二軍投手コーチの姿があった。これまで投手コーチとして、多くの名投手を育て上げた名伯楽も、その若者のピッチングに注目をしていた。決して速いとはいえない球速ながら、凡打を積み上げる姿に目を細めながら見続けた。
「彼は初速と終速があまり変わらない投手だね。体全体で投げることができているので、それが可能になっているのではないかな。だからバッターも戸惑う。打ち損じるんだろうね」
若きサウスポーの投球をそう分析した。そして、これまで育ててきた幾多の投手のピッチングに想いを馳せた。少し間を置いて、思い出したかのようにつぶやいた。「明雄か。横浜の齊藤明雄が、そうだったね」。ストレートは決して速くはないもの、ボール自体にはキレと勢いがある。それはボールが手元から離れて、ミットに収まるまで回転数がほとんど変わらず、球速が落ちないことが一つの要因だ。沢山の記憶を振り返り、小谷投手コーチは128勝を挙げた名投手の名前を挙げた。それは大きな期待の表れであるように思えた。