ホークス上林誠知、長い不調のトンネルを抜けて――憧れの“イチロー”を目指し進化を誓う
去年、“プロ初本塁打が逆転満塁弾”という鮮烈なデビューを飾ったホークスの上林誠知。プロ3年目は開幕一軍という目標を果たせないばかりか、長い不調のトンネルが待ち受けていた。
2016/06/23
開幕一軍ならず、待っていたのは長きトンネル
「早く一軍に上がりたいけど、今のままじゃしっかりやれる自信がない。ちゃんとこっち(二軍)で結果を出して、形を作って上に行きたい」
3月末のウエスタンリーグの阪神戦後、こんな意外な発言をしたのは、プロ3年目の上林誠知だ。
去年、“プロ初本塁打が逆転満塁弾”という鮮烈なデビューを飾り、その一打から、一気に注目を集めた。
春季キャンプの頃にはイキの良い若手として開幕一軍が期待され、昨季はほとんどなかったという取材の数も急上昇。本人も、注目されていることを自覚していた。
そんな上林の今季の目標は、もちろん“開幕一軍”だった。
しかし、それとは裏腹に長いトンネルの幕開けとなった。
春季キャンプで初のA組スタートも、オープン戦では16打数2安打。開幕一軍を期待される中で結果を出せず、開幕を前に二軍行きとなった。
藤井康雄打撃コーチは「上林は状態も悪くはない。ただ、このチームでやっていくには走攻守全てをもっと底上げしないといけない。チームに信頼してもらえるようにならないと」と期待の若手にさらなる成長を求めた。
一軍へのアピールと自らのレベルアップに燃える中、上林に待っていたのは、これまでの野球人生でも1、2位を争う不調だった。
プロ注目打者として期待された高校(仙台育英)最後の夏は、甲子園で9打数1安打。不本意な結果に悔しさを滲ませていたが、今回の不調はその時以来だという。
昨季、ウエスタンリーグで首位打者と盗塁王に輝いた上林は、今季厳しいマークもあって、7試合連続ノーヒット。あまりにも結果が出ず、試合後、意外な一面を目の当たりにした。
「くそったれー!まじで!」
“寡黙でポーカーフェイス”を理想とする21歳が、取り乱したのだ。