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伊藤大海、2冠タイトル王手も「まだエースにあらず」。新庄監督が寄せる大いなる期待【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#234】

伊藤大海が9月26日の楽天戦で完投勝利。チームを6年ぶりのCS進出へ導いただけでなく、自身もこれで14勝、最多勝と最高勝率の2冠にも王手をかけた。

2024/09/29

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産経新聞社



日本ハム・伊藤大海

継投ではなく続投

 楽天23回戦。イニングが進むにつれ、「おお、大海まだ行く!」と興奮していた。この日は継投が読めなかった。田中正義も柳川大晟(編集部注:柳川は9月17日に登録抹消)もベンチを外れていたのだ。最多勝を目指す伊藤大海は初回失点したものの、尻上がりに調子を上げ、楽天打線を「スミ1」に抑えていた。全部の球種が操れていたが、特に右打者のインコースを突くストレートにキレがある。ファイターズはレイエスと清宮幸太郎のホームランで2-1とリードしていたが、ヒリヒリするクロスゲームだ。四球やエラーをきっかけにどう転がるか全く予断を許さない。
 
 8回も「おお、大海行く!?」、9回も「マジか、大海行く!?」だった。これは新庄剛志監督なのか建山義紀コーチなのかわからないが、1人で行かせようと肚をくくっていた。ファイターズはシーズン終盤戦、リリーフ陣に疲れが見える。田中正義、柳川大晟のメンバー外はそういう文脈で考えるべきだろう。ファイターズはこの楽天23回戦に勝てば6年ぶりのCS進出が決まる。それは投の柱に成長した伊藤大海に決めてほしい。
 
 試合は楽天・古謝樹と伊藤大海の投げ合いだった。楽天は前日の藤井聖もそうだけど、いいピッチャーが出てきた。立ち上がりは伊藤大海より古謝の方が良かった。1、2回はランナーを抱えた苦しいピッチングだ。
 
 大海自身がどのくらい意識していたかはわからないが(まぁ、まったく意識しないっていうのも無理だろう)、この日、みずほPayPayドームのH-L戦で有原航平が投げていた。13勝でハーラーダービートップに並ぶソフトバンクのエースだ。これはファンだけに許された「神の視点」(?)なのだが、スマホの速報などを見て、オンタイムでハーラーダービーの行方をハラハラ見守ることができる。つまり、伊藤大海は目の前の古謝樹に加え、福岡の有原航平という2人の好投手と投げ合っていた。少なくとも僕の(情報空間の)なかではそうだった。
 
 伊藤大海は北海道出身のファイターズファンだ。ダルビッシュ有に憧れ、いつか自分もファイターズのエースになりたいと心に誓ってきた。前日、同じ道産子の鍵谷陽平引退試合を見て、そこでも思うところあった。楽天23回戦は決意のマウンドだった。

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