ヤクルト山田哲人、対左投手打率4割超え。インコースの強さが打撃3部門独占の要因に
東京ヤクルトスワローズの山田哲人の打撃が好調だ。現在打撃主要タイトルのランキングでトップに立ち、三冠王どころか五冠王の可能性も出てきた。
2016/06/29
球界屈指のインコースへの対応力
山田が左投手を得意にしている理由には、球界屈指ともいえるインコースへの対応力がある。5月8日の阪神戦(甲子園)では、1回表一死一塁の場面で能見篤史の初球インコースの直球を左翼スタンドへ運び、これが球団通算7500号のメモリアルアーチとなった。
左投手が右打者に投げ込むクロスファイアも、内角に投げ切れなければ、山田にとっては絶好球となる。6月25日の中日戦(神宮)では、1回裏一死一、二塁からジョーダンの投げた真っ直ぐが捕手の構えた内角よりもやや真ん中に入り、それを見事に捉えて左翼への25号3ラン。少しでも甘いコースに入れば確実に捉えるのが、山田の恐ろしさだ。
インコースを捌く技術は右投手に対しても発揮する。同24日の試合では、3回裏無死二、三塁から中日の右腕・若松駿太が投じたインコースの直球を捉えて左翼線へ2点二塁打。その前に投じた2球もインコースで、3球続けてインコースの直球を投じた中日バッテリーをあざ笑うかのように打ち返した。
相手投手からすればインコースはあくまで見せ球にして、完全にボール球にすることが賢明だ。同26日の試合で中日の吉見一起は、6回裏二死の場面、山田に対してインコースへ2球続けてボールとなるシュートを放り、その後外角へのスライダーで空振り三振を奪った。
山田に対してはストライクゾーンで勝負できない。この日は見事な組み立てで山田を打ち取った中日バッテリーだが、これも吉見のような制球力があってこその配球。また、相当な神経を使わなければ山田を打ち取れないことの裏づけでもある。
6月14日のソフトバンク戦(神宮)から4番に座る山田。2割台後半だった得点圏打率も上昇し、現在は.307と3割を超えている。勝負所での一打が奏功し、チームはリーグ戦再開後3連勝と好スタートを切った。
2年連続トリプルスリーも射程圏内に捉えた背番号1。“三冠王”のバットで昨季のセ界王者が息を吹き返しつつある。