新庄監督続投と「素材型のドラフト」に振りきった球団の狙い【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#235】
2024年のドラフト会議でファイターズは8名の選手と交渉権を獲得。将来チームの柱として活躍を期待される素材型選手を多数指名した。
2024/10/26
産経新聞社
将来を見越した指名
2024年のドラフト会議が終了し、ファイターズは指名順に柴田獅子、藤田琉生、浅利太門、清水大暉、山縣秀、山城航太郎、そして育成枠で川勝空人、澁谷純希と合計8人の交渉権を獲得した。1、2位が高校生であることでもわかる通り、今年のドラフトは即戦力でなく数年後の成長を見込んだ素材型だ。198cmの藤田琉生を筆頭に大型のピッチャーが多い。ドラ1の柴田は打力を生かし野手起用される可能性もあるが、野手で登録されてるのは早大の名ショート、山縣だけだ。あとは全員、高身長のピッチャー。ファイターズに限らず、過去ドラフトでここまで大型投手に振り切った指名をした球団はないのじゃないか。後年、この代は「ハイタワーズ」とか「摩天楼ズ」とか異名をもらうだろう。
1巡目は明大・宗山塁に行ったのだが、楽天に決まり、ハズレ1位ならぬ「当たり1位」(新庄剛志監督命名)で柴田獅子を指名した。いや、僕は宗山の実力は認めるけれど、それじゃ水野達稀や上川畑大悟はどうしたらいいと複雑な気持ちだった(だから、金丸夢斗に行かないかなぁと念じていた)。去年の進藤勇也もそうだけど、大学侍ジャパン級の大物新人が入ってくると同ポジションの選手は戦々恐々だ。たぶん楽天・村林一輝も「宗山にポジションを渡してたまるか!」と大いに意識してるだろう。
柴田獅子はソフトバンクとの2球団競合になった。福岡大大濠だからホークスにとっては地元の子だ。そして名前の「獅子(レオ)」はライオンズファンのおじいちゃん由来だ。往時のファイターズであれば(1976年ドラフトの崇徳高・黒田真二のように)入団拒否に遭っていたかもしれない。が、時代は変わった。クジ引きは新庄監督と小久保裕紀監督の一騎打ちだ。先に小久保監督がクジを開き、どうやら違うらしいリアクションだった。そして新庄監督が当たりクジを確認して、派手なガッツポーズを決める。今夏、甲子園を懸けた福岡大会決勝で新庄監督の母校、西日本短大付と福岡大大濠がぶつかり、柴田君のピッチングに見入っていたらしい。「『この子ドラフトにかけられないかな」』『もしかかったときには僕がクジを引くぞ』と思ったんですよ」(新庄監督コメント)
しかも、CSで負けた「小久保ホークス」に借りを返したかったと、半ばリップサービス、半ば本音で語っている。これはドラフト中継見ていたハムファンは全員、その思いだったと思う。CSファイナルでは1勝もできず、コテンパンにやられた。1stでロッテを退けた勢いなど全く通じなかった。はっきり言って戦力差はどうしようもなかった。