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楽天の今オフ〝最大〟の補強は、嶋基宏の残留だ――数字が証明した嶋の測り知れない貢献度

ストーブリーグの一つの話題は、イーグルス・嶋がFA宣言をするかどうかであった。しかし、嶋は早々に残留を発表。チームにとっても、ファンにとっても朗報だった。入団以降、まさに正捕手としてチームとともに成長してきた嶋。実は打率などの単純な数字では表せない部分で、非常にチームへの貢献度が高いのだ。

2014/12/08

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粘り打ちと選球眼が大きく開花した今シーズン

 近年はバッティングも光っている。

 入団当初は非力だったが、センターから右方向へコンパクトに弾き返す打撃で才能が開花。4年目の2010年にリーグ8位の打率.315を打ってからはバットでも期待できる選手に成長した。

 下表を参照いただきたいが、楽天捕手OPSは5年連続でリーグ平均値を上回り続け、イーグルスのストロングポイントのひとつになっている。

 ちなみに楽天でOPSが5年連続平均超えをみせたポジションは捕手だけ。この戦果はひとえに背番号37の槍働きで、嶋は2010年以降.672の通算OPSを記録している。

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 さらに今年は、ハイレベルの粘り打ちと選球眼が我々ファンを驚かせた。元々それらに定評があったが、その才能がさらに磨かれ、もはや芸術級。以下に事例を紹介したい。

 安打以外の出塁率を表すIsoD。キャリアハイの.112を記録した。これはリーグ400打席以上を記録した39人中、同僚のアンドリュー・ジョーンズの.173、西武・中村剛也の.128に次ぐ3位の好成績である。上記2人が長距離打者ゆえに相手投手が警戒して四球が増えたであろうことを考えると、嶋の数字は異色だ。

 1打席当たり投手に投げさせた平均球数P/PA。前年も高く4.10だったが、今年は4.55へ大幅に増えた。

 この数字、四球王ジョーンズの4.43を上回ったのだから、恐れ入る。1打席当たり5球以内282打席の出塁率は.325、同6球以上を投げさせた150打席は.467。相手に球数を投げさせれば投げさせるほど、嶋有利になり出塁率が跳ね上がった。

 追い込まれても簡単に凡退しない。
 わずか2球で0-2と追い込まれたケースは85打席あり、P/PAは5.49、出塁率は.271を記録した。0-2からフルカウントに持ち込んで選んだ四球は11個。これも四球王の5個を上回る。0-2は投手絶対有利カウントである。昔ならここから出塁を許した場合、罰金制度もあったほどだ。球数少なく必ずアウトにしたい場面で、なかなか討ち取れない。

 相手にしてみれば、こういう打者が下位打線に座り、気を抜くヒマを許さないのだから、相当嫌な存在に映ったはずである。

 嶋の存在は捕手としての能力の高さだけにとどまらない。
 打率など従来成績では測れない打者貢献度が大変高く、V奪還を狙う楽天に欠かせないバットマンなのだ。その背番号37が来季も杜の都でプレーする。

 今オフ、私がこれ以上の補強はないと考える理由である。

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