栗山采配ズバリも「神ってない大型連勝」――カープ越え12連勝で2位の日ハムは強いのか弱いのか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#33】
8日試合終了時点で12連勝中のファイターズ。カープ越えの大型連勝にもかかわらず、世間では大きな話題になっていないようだ。
2016/07/09
ショック療法が効果
用兵という点で栗山采配を探ると、まず「戦列に戻った岡大海のスタメン起用」が当たった。何か「幸せの黄色い岡(ぜんぜん黄色くないが)」の到来が連勝を呼び込んだのである。それから「主砲・中田翔に代打を使った」ことでチームを引き締めた。(矢野謙次を)代打起用したのは一度きりだし。4番から下げたのも「腰の張り」を癒すほんのわずかの期間なのだが、ショック療法的な効果があった。
あと大きいのは「増井浩俊を2軍に落とし、マーティンを抑え起用」したことだった。やっとファイターズの先行逃げ切りの野球が安定してやれるようになったのだ。
作戦面で栗山采配を考えると、7月1、2、3日のソフトバンク3連戦(ヤフオクドーム)が面白い。メディアでいちばん露出が多かったのは3試合目の「1番・投手、大谷翔平」だった。これは敵地だったのがミソで、大谷は先頭打者ホームランを放った後、ゆっくりダイヤモンドを一周して、その後、1回表ベンチ脇でキャッチボールを始めるのである。その裏、先発したのだ。野球マンガを地で行くシーン。
が、1、2試合目もファイターズは中身の濃い野球をした。僕が感心したのは初戦の先制得点が重盗だったところだ。「ハムは足をからめてくる」を敵に印象づける、いやらしい点の取り方だった。つまり、この1点はただの1点ではなく、今後効いてくるのだ。同一リーグの6チームが何度も当たるプロ野球の醍醐味は、こうした伏線が幾重にも張られるところだ。
2試合目はその伏線がはっきり効果をあらわした試合だ。6回表、ファイターズの先制点は(岡を三塁に置いて)中島卓也のタイムリー。これは「ファウルで粘る中島」が敢えて初球狙いで仕留めた一打だった。どうせ粘られると思って、カウント球が甘くなった。「中島の初球打ち」も今後は敵バッテリーに考慮され、そのせいで四球を増やすのじゃないか。
今は目立たず勝ちを拾っていくだけだが、いつかカープみたいに「神ってる」と言われたいものだ。まぁ、「神ってない大型連勝」もなかなか味があるけどね。。
追記 ファイターズは8日のロッテ戦で12連勝を飾り、こっそり2位浮上。ソフバンさんが敗れたため、地味に5.5ゲームに差を縮めた。
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