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ドラ5山縣秀、リアル殿馬の期待感。「嫌らしい選手」としてのアピールを【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#240】

2月のキャンプインに向けて新人合同自主トレが始まった。2024年のドラフトで唯一野手で指名を受けたのが5位の山縣秀だ。ピアノが得意で、ドカベンに登場するキャラクターにちなみ「リアル殿馬」と称されるが、漫画の殿馬同様に状況判断ができる選手として一軍に食い込んでいきたい。

2025/01/12 NEW

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産経新聞社



ガタシュウに求められる役割

 で、逆に目立ったのが山縣秀(早大、ドラフト5位)だった。ドラフト組唯一の野手、唯一の小柄(176センチ)。高卒ルーキーの柴田獅子や藤田琉生と違って、風貌が大人だ。ピアノが得意で「リアル殿馬」と言われたりしているが、見た感じもキャラが立っている。存在感がある。他に175センチくらいの野手が何人もいればともかく、今年の新人合同自主トレではダントツに目立って得している。GAORA中継ではピッチャー組がウエイトに行ってしまい、たった一人マシンで打ち込んでる時間帯があった。カメラを独占だ。実況席はずーっと山縣の話をする。大学時代は非力なイメージがあったが、カツン、カツンとマシンの球打ってる姿を見てると軸が安定していて、3割確実じゃないかと思えてくる。通称「ガタシュウ」。華麗な守備で評判を取った「六大学の名手」だが、4年生時は打つ方でも3割残している。
 
 まぁ、「リアル殿馬」じゃないけれど、一発が魅力の山田太郎、岩鬼正美ではなく、野球を知ってる「嫌らしい選手」になっていくべきなのだろう。バントやエンドラン等の小技が使えて、右打ちで野手の頭を越したり、進塁打になったりするバッティングのイメージか。野球を知ってる「嫌らしい選手」というのは、要するに状況判断ができる選手ということだ。去年、明治神宮大会で見た印象もそんな感じだった。捕手と並んで競争の激しい内野争いの一角にガタシュウが食い込むかどうか。そんなこと百も承知でプロに飛び込んできたのだろうから、今後のアピールが楽しみだ。
 
 面白いことに新人同期の集合写真を見ると、山縣秀が前列真ん中にいる。まぁ、190センチ台が揃ってるなかで176センチが後列になると、背伸びしても写らないという問題もあるのだろう。何となく「中心人物」になっている。大学出で、頭の回転も早い。鶴岡慎也さんからは「このなかで開幕1軍の可能性があるとしたら山縣」のお言葉も頂戴した。大型のパワーピッチャーが揃うなか「小柄で非力」が目立つこともある、というのが、新人合同自主トレのファーストインプレッションだ。球春が待ち遠しい。

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