「阪神クローザー・藤浪晋太郎の抜擢」こそ後半戦巻き返しの最善策。週1度の先発起用より有効【小宮山悟の眼】
阪神タイガースが前半戦最下位の成績で終えた。もし後半戦、上位へ巻き返しを図るならば、チームの中で一番いい投手をクローザーに指名させたい。
2016/07/12
週1度の登板より、週に何度も9回で起用するほうが有効
野球の試合で、相手から27個目のアウトを奪うことが最も難しい作業だ。そこから逆算するように、26個目、25個目……と難易度は下がっていく。
言い方は悪いが、先発投手は、のらりくらりと1試合で相手から15個から18個のアウトを奪うのが仕事だ。もちろん、ある程度の失点もあらかじめ織り込み済み。優秀な先発でもせいぜい21個までだろう。
ところが、22個目のアウトからは、そう簡単には奪えない。短いイニングとはいえ、失点はチームの敗戦に直結しやすい。だからこそ、セットアッパーとクローザーの果たす役割は大きいのだ。
シーズンを戦い抜くチームを編成する上で、ブルペン陣の整備は真っ先に手を付けなければならない基本ともいえよう。
現役時代、私自身が長らく先発としてプレーしてきたので、少々言いにくいが、先発投手の代わりは意外と簡単に見つけられるものだ。もちろん、シーズンを通してローテーションを守り、1人で200イニングを投げるような先発は貴重な存在である。しかし、その投手1人だけの不在ならば、何人かの投手で分担してやりくりできるのだ。
今季の広島がいい例だろう。エースのマエケンがメジャーリーグに移籍したにもかかわらず、特別な補強を行わなかったが、残りの投手たちでその穴を見事に埋めきっている。
チームの中で一番いい投手がクローザーを務めるべき――。
現在の阪神の投手陣の中で、藤浪が最もその役に適任だろう。
藤浪を週1度先発として起用するよりも、週に何度も9回のマウンドに上がってもらうほうがチームにとって有効ではないか。私はそう考えている。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。