投手の指のマメはなぜアクシデント? 日本ハム大谷翔平も悩む好投の代償
10日の試合で日本ハムの大谷翔平が試合中にマメができたという理由で緊急降板した。
2016/07/14
マメがつぶれると、回復するまでに時間を要する
ゲームにはアクシデントはつきものだ。
打球が投手を直撃したり、試合中の野手同士の衝突、走塁の際に足をつったりなど、全力プレーをしているからこそのアクシデントがゲームの中ではたくさん起こりうる。
その中でも、観戦者にとって解せないのは投手が投球中に起こす、指のマメ問題だ。
やれ、マメができただの、マメがつぶれただの、大事を取っただの……
10日の試合でも、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平が試合中にマメができたという理由で緊急降板した。オールスターの出場(登板)が厳しいというほどだが、果たして、投手の「指のマメ」アクシデントとは、いったい、どういうものなのだろう。
昨年9月22日。クライマックスシリーズ出場の可能性を残していた埼玉西武ライオンズの菊池雄星が同日の試合で、5回2安打無失点4三振の快調なピッチングを見せていたにも関わらず、6回からマウンドに姿を見せなかった。
降板理由は指にできたマメの影響だったということだが、気になったのは試合後に「大事を取って」という言葉が菊池本人から聞かれたことだ。
投手にとって指の手入れはデリケートに扱わなければいけない。
マメができることを防ぐのはなかなか難しいが、例えば、菊池の場合だと、深爪をしている状態で投げるとリリースの時に圧が皮膚に掛かるためマメができやすいとのことだが、重要になってくるのはマメができたときにつぶさないこと、いわば、指の皮が剥けて破れてしまわないことだ。
菊池がこのときに語っていた言葉が実に印象的だった。
「今はマメができた状態で降板したので少し硬くなっていますけど、これは投げ続けていけば、マメがつぶれてしまいます。マメがつぶれると回復するためには、中6日では間に合わないと思います。次、その次の登板を考えていくと、まだシーズンはクライマックスシリーズの可能性も残しているので、ここで大事を取らせていただきました。中継ぎの方々に迷惑をかけたので、自己管理を含めて、もっと工夫したかった」
“大事を取って”というのは、つまり、最悪の事態を避けるということだ。
ローテーション投手が1度の登板時に無理をしたことによって、その次、さらにその次が投げられないとなればチームの戦い方に影響が出る。特にシーズン終盤などの負けられない戦いが続く時期は、好投手ほど先発の回数を多くしたいはずだから、そうした選択に至った。
とはいえ、菊池が反省の弁を残しているよう、多少の自己管理は必要だという。
投手の中には練習中に手袋をはめるくらいデリケートに扱う選手もいるし、福岡ソフトバンクホークスの岩嵜翔は「入浴の際は指をあまり湯船に指つけないようにしています」と語っていた。指の皮膚がふやけてしまわぬような心遣いがそれぞれ必要だということのようである。