水谷瞬、3アウトで珍しいプレー。地道な意識づけが示す指揮官の「外野手の感性」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#243】
練習試合の中日戦、2回裏スリーアウトチェンジの場面で水谷が見せたバックホーム。このプレーから、新庄監督の一貫した外野手目線によるチームづくりの一端が見て取れる。
2025/02/22 NEW
産経新聞社
アウトカウントを間違えたわけではない
第4クール、2/18は練習試合の中日戦(北谷)が組まれた日だ。僕は新宿ケイズシネマのロビーで映画『みんな笑え』主演の野辺富三氏と歓談していた。と、日ハム応援仲間の放送作家・近澤浩和さんからLINEが入った。近澤さんは自宅でJスポーツ中継を見ている。たぶん僕もオンタイムで見ていると思ったのだろう。
「中日戦、ジェッシーと剛の連打で無死1、3塁からあれ? 清宮の打席でダブルスチールの練習かい!」
「金村、完璧! 123の立ち上がり!」
ファンには説明不要かと思うが、もちろん「ジェッシー」は水谷瞬、「剛」は松本剛、そして「123」は三者凡退のことだ。練習試合の初回の攻防を活写してくれている。
僕は「おお! 帰宅してから見ます」と出先であることを伝えた。そうしたら映画が始まる前、面白いLINEメッセージを入れてくれた。
「ツーアウトからのフライをキャッチしたジェッシーが捕って全力でバックホームしたら、Jスポーツ解説の多村さんが『アウトカウント間違えましたねー』と笑っていました。ご存知ないのは仕方ないので、この後、何度か続けて『おや、間違いじゃないのか』と気づく瞬間を聞きたい」
解説の多村さんは多村仁志(改名前は「多村仁」)氏。最後に中日のユニフォームを着たが、パ・リーグ党にはソフトバンクの印象が強い。
さぁ、その近澤さんが教えてくれたシーンが気になってしまった。映画を見終えてダッシュで帰宅だ。状況は普段、GAORAで紅白戦や練習試合を見ているファンには想像がつくだろう。録画で確認した。2回裏のシーンだ。2死2、3塁の場面で先発北山亘基が踏ん張った。打者宇佐見真吾を浅いレフトフライに打ち取り、スリーアウトチェンジの場面。レフト水谷は風でセンター方向に流された打球を追いかける。実況の足立清紀アナが「バットに当てましたがどうでしょう…風がちょっと強く吹いている…、流されながらレフトフライになりました」
と、水谷は捕ってすぐ思い切り送球、バックホームされた白球はキャッチャー郡司裕也に届いた。
足立アナ「あ、でスリーアウトなんですけど、このようにバックホーム。しっかりカットプレーをしてバックホームへと、このような一連のプレーになりました」
多村さん「んふふ、アウトカウント間違えてますね、今ね」
足立アナ「あ、間違えたんですか?」
多村さん「おそらく(笑)」
足立アナ「ということでドラゴンズ、チャンス作りましたが逆転には至っていません(CMへ)」
3塁走者の石川昂弥がベンチに戻りながら驚いた表情で振り返っていた。まぁ、事前に中日側に話してないわけはないけれど、確かに野球的には珍しいシーンだ。解説の多村さんがアウトカウント間違いと思ったのも無理はない。