WBCまで8カ月、侍JAPAN選考の行方――プレミア12の“惜敗”から考えた「スペシャリスト」の重要性
第4回WBCまであと8カ月に迫った。2大会ぶりの優勝を狙う侍JAPANは小久保監督就任以来、優勝だけを狙ってきた。昨年プレミア12では準決勝でよもやの敗退。その反省を踏まえて、WBCではどういう戦いをするべきなのか。現時点で考えうるメンバーを挙げてみた。
2016/07/15
プレミア12で露呈した無理を強いた継投策
真剣勝負のペナントレースがつかの間の夏休み中、7月15、16日のオールスターに出場する両リーグの豪華メンバーを眺めていたとき、8カ月後の来季開幕前に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)についてふと考えた。
2大会ぶりの王座奪還を狙う大会で、侍JAPANはどんなメンバーで臨むのだろうか。当然、オールスターに出場する選手たちがその中心になるが、選外となった者にも目を向けなければならない。なぜなら、昨年11月に行われたプレミア12では「スペシャリスト」不在で敗れた教訓があるからだ。
忌々しい記憶として残っているのが、準決勝で韓国に喫した痛恨の敗戦だ。侍JAPANは先発・大谷翔平(日本ハム)の好投などで9回まで3対0でリードしながら、最終回にまさかの逆転負けを喫した。
大会の反省として指揮官、選手ともに口にしたのが、継投の難しさだった。
「ピッチャー陣にある程度役割を伝えたほうがいいのかなとは思っています」
小久保裕紀監督がいうピッチャー陣とはブルペンのことで、特にクローザーについてだ。松井裕樹(楽天)、山﨑康晃(DeNA)、増井浩俊(日本ハム)、澤村拓一(巨人)と所属チームで抑えを任される4投手を選出し、試合終盤の状況に合わせて調子のいい者を起用した。
ところが、これが土壇場で裏目に出る。準決勝の韓国戦では則本昂大が登板2イニング目の9回に1点を奪われ、なお無死満塁の場面で松井を投入した。
楽天での松井は9回頭から登板するのが通例で、しかも四球の多い投手だ。案の定、押し出しで歩かせてマウンドを降りた。
その後を継いだのが増井だった。増井も松井と同じく、日本ハムでは9回頭に出番が回ってくる。韓国戦では絶体絶命のピンチで急遽マウンドに上がると、李大浩(現マリナーズ)に逆転打を浴びた。試合後、増井は与えられた役割の難しさについて、「(登板が)いつ来るかわからないというところで、気が張っていた部分は常にあったかなと思います」と痛切な表情で振り返っている。
小久保監督の継投の判断が正しかったかは結果論になるが、クローザー4投手に難しい準備を強いらせ、さらに不慣れな状況でマウンドに立たせたのは否めない。結果、痛恨の結果を招いた。
悔やまれるのが、「火消し」のプロであるワンポイント左腕やセットアッパーを選出していなかったことだ。来年のWBCでも同じような場面が訪れることは想像に難くなく、そんなケースで同じ轍を踏まないためにもピンチで頼れる“仕事人”をベンチに置いておきたい。
左腕なら森福允彦(ソフトバンク)や宮西尚生(日本ハム)、田中健二朗(DeNA)。右投手では田島慎二(中日)、秋吉亮(ヤクルト)、益田直也(ロッテ)、森唯斗(ソフトバンク)、牧田和久(西武)が候補になる。WBCで故障しては元も子もないので、今季の登板数を考慮に入れつつ、状態のいい者を起用すればいい。彼らが持ち場を守ることで、クローザーとして選ばれた者は自分の仕事をやりやすくなるはずだ。
先発陣ではドジャースに移籍した前田健太の出場は難しいだろうが、レベルの高い投手はほかにも数多くいる。球数制限のある大会で必要になる第二先発も含め、今季の調子や国際大会での実績、武器になる変化球を考慮すると陣容はこんなところだろうか。
大谷翔平、有原航平(ともに日本ハム)、和田毅、千賀滉大、武田翔太(ともにソフトバンク)、石川歩、涌井秀章(ともにロッテ)、則本昂大(楽天)、菊池雄星(西武)、菅野智之(巨人)、大野雄大(中日)。
過去のWBCやプレミア12に選出されていないメンバーでは、今季好調の有原と千賀はフォークで勝負できることから選んでいる。左腕不足のなか、豊富な国際経験を誇る和田、強いストレートとカーブで緩急をつけられる菊池には特に期待したい。高い安定感を持つ石川は、第二先発として重宝しそうだ。
一方の打線は、議論の余地が少ないほどレギュラーメンバーの顔が容易に浮かぶ。独断でスタメンを組んでみよう。