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コリジョンルール新基準運用で混乱はおさまるか?「捕手を守る」意識統一で判定を【小宮山悟の眼】

今季導入されたコリジョンルールをめぐって、前半戦は物議を醸した。そこでNPBは運用法を見直し、22日の試合から新基準で適用すると発表した。

2016/07/22

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ルール変更はどのように決定されるのか

 その理由を語る上で、まずNPBのルールがどのように決定されているかということから説明したい。NPBでは、毎年1月にNPB規則委員会を開き、国際的スタンダード(※基本的にメジャーリーグ)ルールとの摺り合わせを行う。実は私もこのNPB規則委員の一人だ。委員会ではOBとして、プレーヤーの観点から、求めに応じて意見を述べさせてもらっている。
続いて、日本野球規則委員会でアマチュア野球側との確認作業を行う。そういう流れを経てようやく、メジャーリーグルールとの違いを、その年のルールブックに織り込むかどうかが決定されるわけだ。
 
 メジャーリーグでは、2月のスプリングトレーニングが始める前に、その年のルールが発表される。だから、毎年1月に規則委員会を開催する日本では、メジャーリーグより1年遅れて新しいルールが導入されるのだ。
 メジャーリーグでルール発表があってから日本で規則委員会を開けばいいと思うかもしれないが、そのタイミングでは、開幕までに印刷をしてルールブックを作成するのが困難だという。私も、メジャーリーグと同じタイミングでルール改正できないかと考え、NPB側に質問したことがあるが、その際には、そういう返答があった。
 
 2015年からメジャーリーグで導入されたコリジョンルールも同様の流れで、1年遅れの今年から日本でも導入されるようになった。
 
 では、そのメジャーリーグでなぜコリジョンルールが誕生したのか。それはご承知の通り、2011年にサンフランシスコ・ジャイアンツのスター捕手バスター・ポージーが、本塁上のクロスプレーで選手生命が危ぶまれるような怪我を負ったことによる。

コリジョンルール導入の契機

 つまり、コリジョンルールとは、そもそも捕手を守るために作られたルールなのだ。
 捕手に対する守備妨害を防ぐ。その方法を探る中で、「捕手が守備妨害を受けるのは、走塁妨害をしていることが原因となる場合もあるのではないか……」と考えられ、「ランナーの進路をふさぐのを禁止にしよう」となったのだ。
 
 コリジョンルールは、捕手を守るためのもの。この意識さえ統一されれば、審判の判断も定まっていくと思う。
 
 後半戦では、コリジョンルールにおける判定の不公平を感じる場面は少なくなるのではないか。
 
 ただ②のビデオ判定に関しては、いくつかの問題点が残る。
 それについては、この連載の次回で語りたい。

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小宮山悟(こみやま・さとる)
 
 1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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