カープとドラゴンズの違い――控え・二軍選手の突き上げない限りAクラスは厳しい【小田幸平の眼】
4位で前半を折り返した中日ドラゴンズ。今季ワーストタイの借金6で前半戦を折り返したが、後半戦でAクラス入りをするには何が必要なのだろうか? 中日ドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏に話を伺った。
2016/07/19
不調に苦しむ又吉。復活のカギは……?
――続いて投手陣です。Aクラスに入るためには、どんなことが必要なんでしょう?
小田 若い人には頼ってられないという現状がありますね。結局、前半戦は誰も出てきませんでしたから。小笠原投手ぐらいでしょ? 小熊も出てきましたけど、彼だってもう8年もやっていますからね。
――ローテ入りを期待された濱田達投手が出遅れ、鈴木翔太、野村亮介のドラフト1位組、新人の佐藤優なども戦力にはなっていません。若い選手に期待したいところですが、出てこないものに期待してもしょうがないと。
小田 そうなんですよ。ですから、投手陣に関しては中堅から上の世代の選手ががんばらないと上位には食い込めないでしょう。ちょっと調子を落としていますが、吉見や山井ががんばらないといけないですね。
――先発陣に関しては、大野雄大投手、若松駿太投手、バルデス投手、ジョーダン投手、吉見一起投手、小熊凌祐投手と、ローテピッチャーが6人揃いました。他のチームより整備されていますが、勝ち星には恵まれていません。どこかで歯車が噛み合っていないといいますか……。
小田 やっぱり課題は中継ぎでしょう。田島が安定しているので、7回、8回を抑える人が決まれば、自然にチームは強くなると思います。
――又吉克紀投手がちょっと苦しんでいると思いますが……。
小田 ちょっとどころじゃない。かなり苦しんでいると思います。心配になりますよ。
――又吉投手の不調の原因をどうご覧になりますか?
小田 まぁ、ああだこうだと考えすぎですね。普通にキャッチャーのミットをめがけて、思いっきり腕を振って投げたほうが良い結果が出ると思います。マウンドの様子を見ていても、自信がないことがわかってしまいますね。心配そうに放ってますから。でも、自分ではそれがわかっていないと思いますよ。
――コースを突いて丁寧に投げようとして、結果的に甘いところに入って痛打されてしまうケースが目立つような気がします。
小田 だったら、多少外れてもいいからエイヤッと投げたほうがいい。彼のピッチングフォームはとても特殊なので、それ自体が一つの武器なんです。横から投げると、右バッターは背中を通されているような気がして怖いんですよ。でも、今は武器を捨てて投げてしまっているように見えます。もう少し「自分は変わった投げ方をしているんだ」ということを心に留めて投げた方がいいですね。
――打線も点は取っていますし、先発陣も揃ってきています。中継ぎ、抑えも陣容は豊富です。7回、8回を抑えるピッチャーがしっかりしていけばAクラスを狙えるというわけですね。
小田 でも、たとえば良いピッチャーを一人獲得したとしても、チーム全体は急には変わりませんよ。やっぱり大切なのは兵隊の奮起が大切です。レギュラーはもちろん、控え選手、二軍の選手まで一丸となってギラギラして戦っていけば、これは強いんですよ。
――落合監督の退任が決まって、チームが一丸となって優勝をもぎとった2011年のことを思い出しました。
小田 そうそう。やっぱり選手個々が責任を感じて奮起することです。「自分はどうやってチームに貢献できるか」を考えてプレーをしていたら、変わってくると思います。自分の仕事をしてほしいですね。
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小田幸平(おだ・こうへい)
1977年3月15日、兵庫県高砂市出身。ニックネームはODA(オーディーエー)。市川高校、三菱重工神戸を経て、97年ドラフト4位で巨人に入団。06年に野口茂樹の人的補償として中日に移籍。谷繁元信現監督の控え捕手として、チームのリーグ優勝3回、日本一1回に貢献。現役引退後は野球解説者はじめトークショーや講演、野球教室、イベントなど精力的に活動している。