大谷翔平だけではない、メジャースカウト注目の日本人選手。筒香嘉智、千賀滉大、菊池涼介の評価とは
プロ・アマを問わず、球場に足を運ぶと、必ずメジャースカウトの姿を目にする。アメリカから調査に来るスカウトもいれば、日本に駐留するアメリカ人、現地で採用されているスカウトなど様々だ。ある日の球場で遭遇したスカウトに日本人選手についての評価を聞いた。
2016/07/18
オールスターMVP筒香嘉智の評価とは
今年の交流戦で印象に残る対決を見せた西武・菊池雄星とDeNAの主砲・筒香嘉智に対する注目は今や日本国内のみに留まらない。
彼らが高校時代からメジャー志向を語っていたことはいまさら言うまでもないが、将来、海の向こうでの対決というのもあり得ない話ではない。
二人はお互いをリスペクトして、交流戦の対戦後にそれぞれにこんな言葉を残している。
「球が強いですね。ただ速いだけじゃなく、強さもあります。投げる体力もありますし、コントロールもきちっとくる。球界の中で少ない部類の投手じゃないですか」(筒香)
「僕らの世代では高校時代から筒香はナンバーワンでしたし、今でも日本一のバッターだと思っています」(菊池)
とはいえ、本人たちがどれだけメジャーを希望しても、海外FA権を行使するか、それよりも前にポスティング・システムでの移籍を球団が認めない限り実現はしない。
何より彼らを欲しがるメジャー球団がなければ、夢物語だ。
いったい彼らや数多の日本人選手たちはどう評価されているのだろうか。ある日の球場で出くわしたメジャースカウトを捕まえて、日本人選手の評価を聞いてみた。
まず、筒香について。
「筒香はバッティング面に関して、欲しがるチームは多いでしょう。パワーでアメリカ人に劣るという人もいますけど、僕は問題ないと思います。彼のホームランを見ていると、ほとんど野手が一歩も動かないような飛距離のあるホームラン。これは筒香が抜けている。さらにいうと、彼の志も評価されるでしょうね。オフにドミニカのウインターリーグに参加していましたよね。カリブの国以外の選手でウインターリーグに参加するというのは高い志があるとアメリカでは受け止められています。また、ウインターリーグで、動くボールを経験しているというのもプラスになるでしょう」
日本人の誰もが危惧されるのが、たとえ彼がメジャーに行ったとして、レギュラークラスかどうかということだろう。試合終盤に退くことが多い守備面を考慮にいれれば、厳しいという見方だ。
「(筒香選手が)レギュラーかどうかはチーム事情によりますけど、外野手の3番手、4番手にはなると思います。どちらのリーグでもいいと思いますが、より彼の打撃を生かすなら、DHのないナショナルリーグはいいと思います。というのも、DHのあるアメリカン・リーグはレギュラーがほぼ固定なんですね。DHといっても、レッドソックスのオルティスのようなデンと構えるタイプを使うか、野手を休ませるために使っている球団が多いんです。
でも、DHのないリーグはピッチャーのところなどに代打がある。だから、たとえ、4番手の外野手という評価になっても、チャンスは与えられる。代打からレギュラーをつかんでいくということができる。筒香選手は左投手を苦手にしませんし、チャンスを多くもらえると思います」
将来のメジャーリーガー候補と言えば、大谷翔平(日本ハム)ばかりに注目が集まるが、メジャーのスカウトたちが狙っているのは、一人だけではないというわけである。そして、意外な名前も挙がっている。