大谷翔平に期待してしまう”究極”のリアル二刀流――日本ハム大躍進最大の原動力【小宮山悟の眼】
今季は正真正銘の二刀流として投打にわたり実績を残している日本ハムの大谷翔平。彼のプレーを見ていると、まさに野球界の常識を超えた存在だといえよう。
2016/07/31
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驚異的な勝率をあげて、ソフトバンクに肉薄
パリーグ2位の日本ハムが、首位のソフトバンクを猛追している。交流戦明けの6月25日から7月28日までの成績は、23戦20勝3敗。勝率8割7分という驚異的な数字を残している。
その大躍進の最大の原動力は、なんといっても大谷翔平の活躍だろう。投手として、そして打者としてチームをリードした。
この期間中、投手としては4試合に登板(うち先発3試合)し、2勝をマーク。防御率は1.21だった。また、打者としては43打数17安打、打率.395を記録。7月10日のロッテ戦で、指のマメが破れて降板するという小さなアクシデントはあったものの、素晴らしいとしか言いようがない数字を残した。
日本ハムの栗山監督は、5月29日の楽天戦から、大谷が先発登板する試合ではDHを解除し、大谷を打席に立たせる采配を振っている。いわゆるリアル二刀流と言われる起用法だ。
中でも、日本ハムが2-0で勝利した7月3日のソフトバンク戦は圧巻だった。大谷は「1番・投手」として出場。プレーボール直後の初球を打ち返し、右中間スタンドへ叩き込んだ。見事な先頭打者アーチだった。
投げては、強力なソフトバンク打線を相手に8回零封。まさに、自ら打って自ら抑えるという二刀流の醍醐味が凝縮されたような試合だった。
大谷が二刀流を成功させたことに関しては、ファンの方も大喜びだろうし、個人的にもうれしく思う。二刀流に挑戦すると表明した当初は、あれだけあった批判的な声も、最近は聞かなくなった。
2014年には史上初の2ケタ勝利&2ケタ本塁打の達成。15年は投手として最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得したが、打者としての成績は前年を下回った。ところが今年は、打者としてもチームの中心選手として活躍している。