今年も〝投手〟が受賞。大瀬良・石川の即戦力ドラフト1位が他の新人王候補に大差をつける【2014年タイトルホルダー 最優秀新人編】
セパともに新人王には、所属球団で先発ローテーションを1年間守り続け10勝をマークした〝投手〟が受賞した。
2014/12/10
今年も投手が新人王に輝く
今シーズンの最優秀新人(新人王)は、セリーグは広島の大瀬良大地、パリーグはロッテの石川歩が受賞した。ともに昨年のドラフトでは競合、抽選の上、入団し期待の高かったドラフト1位ルーキー。
今シーズンは両リーグともに新人王候補選手の活躍が目立ったため、投票結果は接戦になるかと思いきや、2位以下にダブルスコアの差をつけた。
ライバルたちも救援投手として申し分のない働きだったが、ともにほぼ1シーズン、ローテーションを守り、かつ二桁勝利をあげた点が評価されたということだろう。
新人王は断然、投手が有利だ。
アマチュアで活躍していたプロレベルの投手は1年目でも同じように活躍できるが、野手はたとえプロレベルであっても、投手の力量が相対的にアップする分は不利になるということなのだろう。
過去の受賞者はセリーグが投手37人、野手24人、該当者なし4回、パリーグはより顕著で投手が44人、野手が15人、該当者なし6回。2000年以降の近年でもセリーグが投手9人、野手6人、パ・リーグは投手14人、該当者なしが1回となっている。
両投手の受賞によりセリーグは2011年の沢村拓一から4年連続、パリーグは99年の松坂大輔から実に15回連続(00年は該当者なし)で投手の受賞となった。
終盤に復調したカープの黄金ルーキー
ドラフト2位入団の九里亜蓮とともに開幕ローテーション入りした大瀬良は開幕5試合目の4月2日のヤクルト戦で初登板初先発。7回5安打2失点とまずまずのデビューを飾り、4月16日、プロ3試合目の登板で初勝利。4月は2勝1敗、防御率2.17と好スタートを切り、5月も5試合に先発し3勝1敗と好調をキープした。
中日のドラフト2位の又吉克樹はキャンプで頭角を現し開幕一軍入り。大瀬良より一足早く3月29日に救援でプロ初登板を果たし、4月17日にプロ初勝利をあげた。
ただシーズン序盤はピンチで痛打を浴びることも多く、敗戦処理での登板が目立った。一方、昨シーズンのドラフト1位、福谷浩介は開幕から中継ぎの一角に入り、勝ちパターンのセットアッパーとして機能、4月は6H、5月は8H、防御率は0.75をマークした。
交流戦前までに5勝をあげ、シーズン序盤にして新人王は当確かと思われた大瀬良だったが、5月半ばから勝てなくなる。交流戦は5試合に先発したものの防御率6.86で、白星は1つだけ。リーグ戦再開後も白星がつかず7月は未勝利、8月16日にようやく7勝目を挙げた。
大瀬良とは対照的に、交流戦で調子を上げたのが又吉。7試合、7回1/3を投げて自責点1、防御率1.23、6月は月間防御率0.00をマークし、福谷とともに勝ちパターンの中継ぎの一角を担うようになった。基本は1イニングの登板だが、夏場以降はイニングまたぎも増え、白星も増えていった。
8月終えた時点で大瀬良7勝6敗、防御率4.08、又吉8勝1敗1S13Hで、甲乙つけがたい数字となった。福谷は8月の9試合を無失点、クローザーを任されるようになり、0勝3敗3S31H、防御率1.97で終盤の活躍次第で新人王の可能性はあった。
又吉、福谷ともに最後まで勝ちパターンの中継ぎを形成し、リーグ1、2位の登板数(福谷72試合、又吉67試合)をマークしたが、終盤にきて復調した大瀬良に軍配が上がった。9月は1完封を含む3勝、勝ち星を二桁にのせた。