多角的な視点で発信する野球専門メディアベースボールチャンネル



台湾スターの系譜を継ぐ古林睿煬。スペシャルワンの先発調整開始は最高のサプライズ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#245】

ファイターズの先発陣争いに台湾・統一からポスティングシステムで獲得した古林睿煬が加わることになりそうだ。オープン戦2試合で結果を残し、新庄監督に猛アピール。ローテーションの一角どころかエース級の活躍も期待したくなるほどのポテンシャルがある。

2025/03/22 NEW

text By

photo

産経新聞社



グーリン先発はうれしい誤算

 ただ越谷で見た4投手はスペシャルワンというほど、強力なカードではなかった。僕の脳裏にはスペシャルワンの残像があった。3/18巨人戦で2イニング被安打1、MAX155キロの快投を見せた台湾の「火球男」、古林睿煬(以下、グーリン)だ。11日ロッテ戦も良かったが、はっきり投げるたびにインパクトが増している。ホップ成分満点のストレートがうなりを上げて捕手のミットにおさまる。新庄剛志監督は当初、去年の金村尚真のようにセットアッパーで使い、実戦に慣らしていく構想だったが、巨人戦を見て方針を一変、4月の早い段階から先発の一角に据えるつもりだ。25日からのイースタン・ヤクルト戦(鎌ケ谷)で調整登板が予定されている。やっぱり、この時期のイースタンは見どころ満載なのだ。
 
 グーリンが先発に一枚加わることが何を意味するか。開幕目前の時期に「サプライズプレゼント」なのだ。ここまでほぼチーム構想は固まっていたはずだが、2ケタ勝てるエース級のスターターが出現してしまった。すごく嬉しいことをよく「望外の幸せ」というけれど、本当に「望外のエース級」だ。いやぁ、もしかすると台湾のMVPはファイターズを日本一に導き、日本でもMVPを獲得するかもしれない。
 
 グーリンの巨人戦の投球を見て、僕は世代的に江川卓、松坂大輔を連想した。グンと伸びて、打者のバットが下をくぐるイメージ。強い球という意味では若い読者は佐々木朗希を思い浮かべるだろうが、グーリンの方がホップする。で、強い球のピッチャーというのは研究してもなかなか打てないのだ。
 
 GAORA実況の土井悠平アナがうっかり「ふるばやし」と言ってしまって、なんか狸ばやしっぽくて味わい深いグーリンである。人気沸騰に期待したい。ここまでのオープン戦、僕の研究(?)ではなぜか若林晃弘と一緒に起用されていて、「今、グラウンドのに古林と若林がいる」とXに投稿してしまったのだった。ガマンしようとしたが、自分が止められなかったのだ。巨人戦では若林楽人を打席に迎えて、「今、グラウンドに古林と若林と若林がいる」と投稿してしまった。
 
 この流れとしては当然、オリックス紅林弘太郎との「ばやし対決」を楽しみとしたい。ソフトバンク上林誠知が中日へ移籍してしまって残念だ。ていうか、考えたら梅林優貴と「ばやしバッテリー」を組む可能性も考慮しないといけないだろう。球団はぜひ「ふるばやし」(もしくは「ばやし」)応援タオルを発売してほしい。
 
 僕はグーリンは北海道の新しいスターになると予想する。それは陽岱鋼、王柏融と繋いできた台湾スターの系譜であり、ファイターズのアジアマーケティングの一翼を担うものだ。いずれ支配下登録された孫易磊がそれに続くだろう。

1 2


error: Content is protected !!