西武・金子侑司の生きる起用法は? 「かっこいい選手に見られたい」独自のセルフコントロールで存在感
5位と低迷する西武の中で、数少ない光と言えるのが金子侑司だ。4月20日以来、スタメン出場を続け、脚を武器にその存在感を見せつけている。
2016/07/25
首脳陣は金子侑に何を求め、本人は仕事場を見つけることができるのか
今季、金子侑に見られる変化は盗塁面だけではない。スイッチヒッターで立つ左打席の場合、走り打ちになる傾向が見られるが、徐々に影を潜めてきている。“カッコ良さ”を追求するスピードスターに、試合数を重ねることで粘り強さが出てきたのだ。
特に顕著だったのが、7月19日の千葉ロッテ戦だ。2回2死2塁で1打席目が回ってくると、2ボール、2ストライクからの6球目、二木康太が投じた真ん中低めのスライダーをうまく体の近くまで呼び込み、センター前に弾き返した。
「追い込まれていたので、何とか食らいついていこうと思った結果、ああいうヒットになってくれたので良かったと思います」
チャンスで回ってきた2打席目は真ん中のカーブに対し、前に出されてファーストフライに倒れる。しかし、3打席目では再び粘りを見せた。二木が低めに投げたスライダー、フォークをいずれもファウルにすると、5球目、外角低めの138kmストレートをセンターに打ち返した。
「なんとか食らいついてというところで、真っすぐを1球で仕留められました。今年はこういうバッティングをやろうと決めているので良かったと思います」
ともに走り打ちになっていたら、相手の餌食になったボールだ。それだけに金子侑の成長が見られた。そして9回裏の第4打席では、相手クローザーの西野勇士が内角に投じた146kmストレートをライト前安打とし、今季2度目の猛打賞を記録している。
ここまでの打率.2798はリーグ16位。攻撃は打者のバット頼みの傾向が強いチームにあって、足を使える金子侑の存在は大きい。だからこそベンチは守備にある程度目をつぶり、スタメンに置き続けているのだろう。
残り60試合を切った今季、首脳陣に必要なのは起用法を確立させていくことだ。守備位置は内野にするのか、あるいは外野で行くのか。内野でレギュラーをとるにはスローイングを改善する必要があり、外野一本にするなら打撃や走塁でのより高い貢献が求められる。
そして、打順は何番がいいのか。周囲との力関係を考えると現状では下位になるが、1番に置ければ打線に厚みが増し、金子侑の足をより活かすことができる。7月1日の楽天戦から6試合続けてリードオフマンとして起用されたのは、首脳陣がその可能性を探ったからだろう。
金子自身、1番は求める先である。
「自分のなかで、1番を打ちたい気持ちはあります。やること自体は何番に入っても変わらないですけど、1番で使ってもらって楽しかったですね。また使ってもらえるように、9番でも自分のできることをしっかりやっていきたいと思います」
ライバルとなる秋山翔吾がとてつもなく高い壁になるのは、改めて説明するまでもない。ただ、金子侑を1番に起用できれば、秋山を2番や3番に置くこともできる。もっとも、秋山がその打順で持ち味を発揮できれば、という問題もあるが。
果たして、金子侑が最も生きるのはどこか。ユーティリティ性は武器になる一方、レギュラーを確保するには仕事場所を明確にしたいところだ。
残り52試合、本人が定位置確保にアピールすることはもちろん、首脳陣が適正を的確に見極め、起用法で指針を示すことも求められる。