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ヤクルト石川、球団史上3人目通算150勝へ。小さな大投手は「内弁慶」返上なるか【新・燕軍戦記#28】

今シーズンはホームとビジターで両極端の成績を残している東京ヤクルトスワローズの石川雅規。敵地・甲子園が舞台となる今日、7月26日の阪神戦で「内弁慶」を返上し、球団史上3人目の通算150勝を達成することはできるだろうか?

2016/07/26

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「前半戦で働けなかった分、後半はやり返したい」

 前半戦をリーグ最下位で折り返したヤクルトが、巻き返しをかけて臨むシーズン後半の『開幕戦』。その大事な一戦が、石川の復帰の舞台となった。「久しぶりでちょっと緊張しました」というおよそ1カ月半ぶりの一軍マウンドで、大先輩から声をかけられた。この日、チームのレジェンドとして始球式を務めた松岡である。

「緊張してるだろうからね。『頑張ってね』って、それだけ」

 自身の引退式以来、30年ぶりに上がった神宮のマウンドで始球式を終えた松岡は、スワローズのエースの系譜を継いだ後輩にかけた言葉を、そう明かした。

「たいしたもんだよ。(身長186センチの)オレみたいなこんな体じゃないし、(身長167センチの)小兵でさあ……。たいへんなもんだぜ」

 1978年、ヤクルト初のリーグ優勝そして日本一の胴上げ投手になった際に使っていた愛用のグラブを傍らに置き、松岡はそう言って石川をたたえると、さらなるエールを送った。

「(自身が持つ球団歴代2位の通算191勝は)抜いてもらわなきゃ。金田さんの記録はちょっと無理だろうけどね(笑)。一歩でも近づいて、早く追い越してくれればいいなぁという感覚だね。年齢的にもキツいだろうけど」

 そのエールに応えるように、石川は見事に復帰戦を白星で飾った。松岡の言葉を伝え聞くと「(191勝は)偉大すぎますよ」と苦笑いを浮かべながらも「辞めるまでは1勝でも多くという思いはあります」と前を向いた。

 これで今季、神宮では4戦全勝、防御率1.47。昨年から通算して11連勝と、本拠地では無双状態にある。その一方で、ビジターでは今季0勝5敗、防御率10.72。敵地が完全な『鬼門』になっている(その他、松山開催のホームゲームで1勝)。

 球団史上3人目の通算150勝がかかる今日、7月26日の阪神戦の舞台となるのは敵地・甲子園。本音を言えば節目の記録は、自分自身「大好きな球場」と公言する神宮で達成したいところだろう。また、ファンの多くもそれを望んでいるはずだ。しかし、チームが4位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)出場も十分に狙える今、足踏みをしている余裕はない。

「前半戦で働けなかった分、後半戦はしっかりやり返したいという思いがあります。あと何試合投げられるかわからないですけど、残り試合は全部チームの勝ちに貢献できるようなピッチングをしたいと思います」

 思えばヤクルトが14年ぶりのリーグ優勝を果たした昨シーズン、石川はオールスターまで5勝7敗ながら、後半戦は時には中5日、中4日でフル回転。6連勝を含む8勝2敗の好成績で、リーグ制覇に大きく貢献した。

 今シーズンも残すところ49試合。もう『鬼門』などとは言っていられない。今季はこれが初登板となる甲子園で「敵地アレルギー」を払拭できたら、あとはCSに向けて勝ちまくるだけだ。

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