誰が新人王でもおかしくなかった! 又吉、福谷、高橋、森……指標が示す投手能力の高さ
今年の新人王争いは投票結果こそ大差だったが、実際の活躍度、貢献度からすると、誰が賞をとってもおかしくない結果だっただろう。
2014/12/11
新人王の投票結果は意外な大差に
今季両リーグの新人王に、セは大瀬良大地(広島)、パは石川歩(ロッテ)が選ばれた。広島の選手では2012年の野村祐輔以来9人目、投手では7人目。ロッテの選手では12年の益田直也以来8人目、投手では5人目の受賞である。
大瀬良は開幕から先発ローテーションに入り、シーズンを通して一軍に帯同した。セ・リーグの新人投手でただ一人規定投球回に達し、防御率は4.05ながら10勝8敗と、優勝争いの中で2ケタ勝利をあげた点も評価されての受賞となった。
得票数は大瀬良が217票、中日勢の又吉克樹が25票、福谷浩司が16票。DeNAの三上朋也も5票を獲得した(ほかに3選手が1票ずつ)。
発表前はもう少し票が割れるのではないかとも言われたが、かなりの差がついた。
大瀬良の新人王にケチをつけるつもりはないが、ほかの選手の成績を改めて振り返ってみよう。
又吉は67試合に登板し防御率2.21。
1イニングあたりに許した走者の数を表すWHIPは0.96。
45試合以上に登板したセリーグの投手の中では呉昇桓(阪神)の0.81に次ぐ好成績だ。
また、奪三振率は11.51と45試合以上登板した投手の中では12球団トップの数値を残した。
又吉とチームメイトで2年目ながら新人王の資格があった福谷は両リーグトップの72試合に登板した。
鉄腕・岩瀬仁紀がケガで離脱したあとはクローザーの役割も担い、チームに貢献した。
映画『マネーボール』でも取り上げられた野球指標セイバーメトリクスの中に、平均的な投手と比べどれだけ失点を防いだかを計るRSAA(※)という指標がある。
福谷のRSAA20.77は、45試合以上に登板した12球団の投手の中で佐藤達也(オリックス)の21.78に次ぐ成績だ。又吉、福谷、三上の3選手ともにRSAAでは高い数値を残した。
先発とリリーフの違いがあり、一概に比べることはできないが、セリーグの新人王に得票数ほどの差はなく、高いレベルでの争いだったといえるだろう。