DeNA・桑原、1番打者として増す存在感。発想転換で掴んだレギュラーの座
昨年の後半戦とは一転、息切れせずにクライマックスシリーズ争いを繰り広げるDeNA。強力クリーンアップが控えるだけに、1番打者・桑原の出塁がカギを握る。
2016/07/29
期待に応えられなかった昨年
「結果が出ないと悔しいし、けど結果ばかり求め過ぎてもいけない」
横浜DeNAベイスターズの桑原将志は、一見矛盾するかのような思いを口にすると、次のようにつづけた。
「自分がやってきたことを出すことができるか。それを証明していきたいと思います」
昨年とは異なり後半戦になっても息切れをせずクライマックスシリーズ争いを演じるDeNAにとって桑原は、今やなくてはならない1番打者である。
一昨年の2014年のシーズンに台頭した桑原は、小柄ながら思いっきりの良さが魅力の選手である。当時プロ3年目だった桑原の登場は、チームにとって明るい未来を予感させた。だが更なる飛躍を求められた昨シーズン、思わぬ不振に陥り打率は1割台に低迷し、チームの期待に応えることができなかった。
昨シーズン終了後に参加したフェニックスリーグで左手首を骨折してしまい、新しく就任したラミレス監督のもと行われた奄美大島の秋季キャンプには不参加。残念ながら来シーズンに向け最初のアピールの場を失った。
二軍施設のある横須賀で、単身黙々とトレーニングを重ねていた桑原に、何故思うような活躍ができなかったのか尋ねてみると、次のような答えが返ってきた。
「昨年は何も考えずにプレーしていたんですが、今シーズン(2015年)はいろいろ考え過ぎてしまい自分らしいプレーできませんでした……」
桑原の表情からは、何故そうなってしまったのか理解できていない戸惑いが見てとれた。この状況からどう脱すればいいのか――明確な答えを持ち合わせていない。