DeNA・桑原、1番打者として増す存在感。発想転換で掴んだレギュラーの座
昨年の後半戦とは一転、息切れせずにクライマックスシリーズ争いを繰り広げるDeNA。強力クリーンアップが控えるだけに、1番打者・桑原の出塁がカギを握る。
2016/07/29
野球を俯瞰で見られるようになった今季
そして2016年シーズン、開幕一軍に名を連ねた桑原は、関根大気や乙坂智といった同世代のライバルたちと外野のレギュラーを争うことになる。ケガにより関根の出遅れがあったが、桑原は右打者ということもあり、主に対戦相手が左投手のときにスタメン起用された。
ラミレス監督が掲げた今年のチームオーダーは、ファーストストライクから積極的に振っていくこと。
早いカウントでのバッティングに戸惑いを見せる選手が多い中、桑原は2ストライクと追い込まれる前に積極的にバットを振り快音を響かせた。チームが開幕ダッシュに失敗した3・4月には3割以上の好打率を残している。
桑原の打撃フォームを一見するかぎり技術的な大きな変化は見られない。果たして、昨年と比べてアプローチにどのような変革があったというのか。
「相手のことを考えるんです」
桑原は曖昧模糊とした昨年横須賀で話を聞いたときとは違い、確信をもった口調でつづけた。
「昨年までは自分のことばかり考えていたんですよ。気負ったり、ランナーがいようがいまいが“こういう球がきたらどうしよう?”とか余計なことばかり考えていました。練習中のバッティングは悪くないのに、試合ではそれが出せない。
で、気づいたんですよ、自分のことだけ考えて、ピッチャーのことを忘れていたんだって。野球はピッチャー主導で動くスポーツですし、バッターはピッチャーに合わせなくてはいけない。そこを完全に見失っていたんです」
懸命に考え頭を使おうとしても視野の狭くなってしまい、それが成長を阻んでいた。桑原は今シーズン、打撃面においてピッチャーを中心に野球を俯瞰で見られるようになった。
「ファーストストライクを打ちに行くにしても、ピッチャーの狙い球を絞って、どのようにしてタイミングをとればいいのか。そういうことばかり考えるようになりましたね。いいピッチャーは追い込まれたら色んな球種で勝負されるので、早いカウントから勝負していかないといけない」