角中、又吉ら歴代ベストナインを発表した四国IL~独立リーグからプロ入りした選手たち
2005年のスタートから今季で10年目を迎えた独立リーグ・四国アイランドリーグplus(以下、四国IL)。これまでに約40人の選手をNPBへと送り出し、その一方でNPBを戦力外となった選手の受け皿となってきた。日本球界で独特の存在感を示す四国ILにおいて、そこから巣立って大きく羽ばたいた選手や、NPB復帰を目指すベテランたちの足跡を振り返る。
2014/12/14
四国ILでNPB復帰を目指したベテランたち
野手の出世頭が角中だとすれば、投手の筆頭格は中日の又吉克樹だろう。この10周年記念のベストナイン企画でも、見事に投手部門で選出されている。
2013年ドラフトで2位指名を受けて中日入りを果たした又吉は今季、ルーキーながらチームのセットアッパーという大役を任され、67試合に登板。威力十分のストレートを武器に、9勝1敗2セーブ24ホールド、防御率2.21という圧巻の成績を残して、勝利の方程式の一翼を担った。
その又吉は、角中と同じく、1シーズンだけ四国ILに所属。環太平洋大学卒業後に香川オリーブガイナーズに籍を置き、エースとして活躍した。
この年の成績も圧倒的だった。13勝4敗で防御率は驚異の1.64。最多勝、ベストナイン、最優秀選手(投手)、チームMVPなどタイトル総なめ状態で、NPBスカウトからの注目を集めた。
投手としての評価が定まるのは来季以降ということになりそうだが、潜在能力の高さと抜群の実戦感覚をルーキーイヤーで見せつけただけに、いやが応にも期待は高まる。このオフに、ドミニカで行われたウインターリーグに参加したという向上心の高さも頼もしい。
この他にも金無英(福岡レッドワーブラーズ→ソフトバンク)、三輪正義(香川→ヤクルト)など、NPB入りを果たして一定の成果をあげた選手たちがいるが、一方でNPBを戦力外となり、活躍の場を四国ILに求めたベテランも少なくない。
2002年から10シーズンにわたって阪神に所属し、通算30本塁打をマークした桜井広大。かつて「ミスター完封」と呼ばれ、巨人、西武、中日と3球団に在籍した河原純一。プロ通算31勝、近鉄(現・オリックス)所属の2001年には先発として12勝をマークした前川勝彦。桐生第一で甲子園制覇に貢献し、日本ハムやヤクルト、台湾球界やBCL(ベースボール・チャレンジ・リーグ)などを渡り歩いた正田樹などが、ネームバリューの高い選手としてあげられるだろう。
いずれもプロで10年以上のキャリアを持つベテランたちは、野球を続けたいという純粋な気持ちや、NPBへの復帰を目指して、四国ILへと足を踏み入れた。
桜井(香川)は2012年から2シーズン続けて指名打者でベストナインに輝き、2013年には最多本塁打と最多打点の2冠を達成。この10周年ベストナイン企画でも指名打者で選出された。しかし、NPBへの復帰が叶わず、同年に引退。前川(香川)も2010年に13勝1敗、防御率1.36という成績を残してチームの優勝に貢献。年間MVPにも選出されるほどの活躍を見せたが、翌年に移籍した三重スリーアローズをチームの解散もあって1年で退団している。
一方、愛媛マンダリンパイレーツに所属する河原と正田は、ともにチームに支配下登録されている。河原は2013年から2年連続で2ケタ登板を果たし、41歳となった現在でも現役に強い意欲を見せ、今季からチームに在籍する正田は最優秀防御率のタイトルを獲得。シーズン終了後には、みやざきフェニックスリーグにも参加するなど、33歳のベテランとは思えないほど精力的に動いている。
また、NPB球団を退団後に四国ILへと移籍し、再びNPBへと舞い戻ったケースが2例ある。現在ロッテに在籍する金森敬之は、日本ハムから戦力外通告を受けたあと愛媛に入団し、1シーズンでNPBへと復帰を果たした。ソフトバンクから四国ILの福岡へと移り、ロッテに3シーズン在籍した山田秋親もそのひとり。現在は社会人チームのミキハウスREDSに所属している。
このように、NPB入りを目指す若手選手ばかりでなく、NPB復帰を目指すベテランたちの受け皿という側面もあった四国ILは来季、発足から11年目のシーズンを迎える。リーグのさらなる発展と進化に期待したい。